若者の免許離れは本当か? AT免許比率はなんと70%以上!! 運転免許最新事情

若者の免許離れは本当か? AT免許比率はなんと70%以上!! 運転免許最新事情

 最近の報道では若者の免許離れが報じられています。クルマを所有することに興味がないばかりか現実感を持てない。あるいは30万円前後という教習所代を払うことが難しいといった話まであります。

 今回は、若者の運転免許の取得数や取得率、教習所が行っている対策などを調査しました。若者は本当に運転免許に興味がなくなってしまったのでしょうか。

文/齊藤優太
写真/PhotoAC、AdobeStock(トップ画像=Kumi@AdobeStock)

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免許取得者数・取得率の実情

巷で言われるほど若者はクルマに乗らないのか? 若者の運転免許の取得数や取得率、教習所が行っている対策などを調査した(PhotoAC)
巷で言われるほど若者はクルマに乗らないのか? 若者の運転免許の取得数や取得率、教習所が行っている対策などを調査した(PhotoAC)

 警察庁や内閣府では、運転免許の取得者数や人口に対する取得率を公表しています。まず、若者の免許取得者数や取得率を見ていきましょう。

10代から20代までの免許保有者数はどのくらい?

 10代〜20代の若者の運転免許保有者数は、令和3年(2022年)末時点で1,087万1,177人となっています。内訳と男女別保有者数は次のとおりです。

【16歳~29歳の免許保有者数】
・25歳~29歳:535万2,559人
(男性:284万6,229人、女性250万6,330人)
・20歳~24歳:467万1,998人
(男性:252万1,310人、女性:215万688人)
・16歳~19歳:84万6,620人
(男性:48万3,920人、女性:36万2,700人)
※内閣府「令和4年版交通安全白書」より

 内閣府の統計からも、16歳〜29歳までの若い世代の1,000万人以上が何らかの運転免許を保有していることが明らかとなっています。

人口に対する免許取得率はどのくらい?

人口に対する免許取得率は20歳~24歳で70%以上、25歳~29歳で80%以上が運転免許を保有している。けっして低くはない数字に見えるが、35歳〜59歳までの人口に対する免許保有率は90%以上。比較するとやはり低いといえるかもしれない(PhotoAC)
人口に対する免許取得率は20歳~24歳で70%以上、25歳~29歳で80%以上が運転免許を保有している。けっして低くはない数字に見えるが、35歳〜59歳までの人口に対する免許保有率は90%以上。比較するとやはり低いといえるかもしれない(PhotoAC)

 16歳〜29歳までの人口に対する運転免許取得率はどのくらいなのでしょうか。内閣府のデータによると、20歳以上の若者の70%以上が運転免許を保有していることがわかります。詳しい内訳は次のとおりです。

【16歳〜29歳の人口に対する運転免許保有率】
・25歳~29歳(人口:6,379千人):83.9%
(男性3,277千人:86.9%、女性3,102千人:80.8%)
・20歳~24歳(人口:6,246千人):74.6%
(男性3,205千人:78.7%、女性3,059千人:70.3%)
・16歳~19歳(人口:4,504千人):18.8%
(男性2,314千人:20.9%、女性2,192千人:16.5%)
※内閣府「令和4年版交通安全白書」より

 35歳〜59歳までの人口に対する免許保有率が90%以上となっていることから、若い世代の免許保有率が低いと考えることもできるでしょう。

ATとMTのどちらが多いのか?

これは自動車メーカーが送り出す新車の比率を考えてもある程度予想がつくだろう。いうまでもなくAT限定で取得している人が多い。MT車が少ないのでAT限定で取る。AT限定免許所持者が多いからMT車が少なくなるという堂々巡りだ(PhotoAC)
これは自動車メーカーが送り出す新車の比率を考えてもある程度予想がつくだろう。いうまでもなくAT限定で取得している人が多い。MT車が少ないのでAT限定で取る。AT限定免許所持者が多いからMT車が少なくなるという堂々巡りだ(PhotoAC)

 運転免許を取得している人のうち、AT限定で取得している人数はどのくらいなのでしょうか。警察庁が公開している令和3年中の運転免許試験実施状況によると、次のとおりとなっています。

【令和3年中の運転免許試験実施状況:普通自動車】
・普通第一種免許受験者数:166万306人(合格者数:123万1297人)
・普通第一種免許AT限定受験者数:119万1053人(合格者数:87万4662人)
※警察庁「運転免許統計 令和3年版」より

 この統計データは、若者だけに絞ったものではないものの、普通車の免許をAT限定で取得しようとする人が70%以上であることが明らかです。

 筆者がかつて指定自動車教習所に勤めていたときは、限定なし(MT免許)で教習所に通っている人もいましたが、世代を問わずAT限定で通っている人がほとんどでした。

 AT限定免許を選ぶ理由としては、「MTを運転する機会がない」や「家の車がATだからMTの必要がない」などが多かったです。つまり、MT免許の必要性が低いという理由でAT限定にしているケースが多く見られました。

 一方、限定なし(MT免許)で教習所に通っている人の多くは、「仕事の都合で必要」や「乗りたい車がMT車だからMT免許でなければならない」など、MTを運転しなければならない事情があるケースがほとんどです。

 また、教習所に通う人の中には「まずAT限定で免許を取得して、必要になったら限定解除する」と考えている人もいました。

 このように、さまざまな理由によりAT限定免許で取得する人数が多いと考えられます。

次ページは : 少子高齢化により免許取得者数の減少は避けられない

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