元白バイ乗りが明かした「リアル」取り締まり現場。ノルマクリアに欠かせない極意と漁場

■白バイが集結する違反の頻発スポット「漁場」とは

 交通違反が頻発する絶好の取り締まりスポットのことを、白バイ乗りたちは、「漁場」と呼んでいる。本来は漁業で使われる言葉だが、獲物をあげる場所というニュアンスがしっくり)くるのだろう、誰が呼び始めたかは知らないが、警視庁の白バイ乗りたちはそのように呼んでいた。

 白バイ乗りたちには、毎月毎月、それなりの売上げノルマが課される。それをクリアするためには、いかに良質な漁場を確保しているかということが重要であった。小隊の先輩から教わったり、あるいは自分で開拓したりという具合だ。時には遠征、本来なら他部隊が縄張りにしている所で、彼らの目を盗んで密漁を行うこともあった。

 もちろん逆に自分たちの縄張りを荒らされることもあるわけだが。白バイ隊員のみならず、交機隊の警察官はみなノルマ、ノルマであったから、とにかく良い漁場には、たくさんの車両や警察官が集まった。白バイ、交パ、覆面パトカー……。さらには、警察署の白バイや交通課員、なかには交番のお巡りさんまでやってくるスポットもあった。白バイやパトカーはおもにスピード違反を、徒歩の交通課員やお巡りさんは、シートベルトや一時不停止、右折禁止などの違反取り締まり行うという具合だ。

■かっ飛ぶ違反車を狙う白バイは「アパッチ」

 漁場には、白バイ、交通パトカー、マルハク(追尾測定)専用の場所もあった。ずばりスピード違反狙いのスポットで、誰もがかっ飛ばしたくなるような信号の少ない直線道路だ。こういう場所は、昼は白バイ、夜は覆面パトカーが精力的に活動する。取り締まり方法は、一定区間を行ったり来たり走りながらのターゲットロックオンか、または裏路地や側道にて待ち伏せし、かっ飛んでくるターゲットをロックオンするかになる。多いのは後者で、通称アパッチと言っていた(西部劇で丘の上からアパッチ族が幌馬車隊を急襲するシーンから作られた用語)。

■人気の漁場での取り締まりには優先順がある

 さて、あまりにも人気のある漁場だと、先に紹介したとおり、交機の車両はもちろんのこと、所轄の白バイや交通課員、交番員まで足を運んで来て、警察官だらけになる。そのような場合、白バイ乗りとしては、漁場に関する暗黙の仁義を守らなければならない。
 
 それは漁場使用の優先順位である。最優先者は、その漁場を管轄する所轄の交番のお巡りさんたち、すなわち地域係員だ。次にその所轄の交通課交通執行係員。これは白バイ乗務員ではない、通称、徒歩と言われているお巡りさんたちのことだ。次がそこの所轄の白バイ、最後によそ者である交機連中や隣接署の白バイという順となる。いくら漁場に先着していたとしても、優先者が来たら黙って直ちにその場を譲り渡し、立ち去るのが暗黙のルールなのだ。

 今日もあちこちの漁場で、交通違反の取り締まりが繰り広げられていることだろう。
「こんな所で突っ立って見ていないで違反する前に注意するべきだ! やり方が汚い!」
 違反者はそう怒りながら不満を口にしていることだろう。「ごもっともです。免許証をお願いします」。白バイ隊員はそう応対する、いつもの光景とともに……。

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