リトラクタブルヘッドライトはスーパーカーの証?
1970年代中盤に日本国内で巻き起こったスーパーカーブーム。当時の少年たちは、外国製超高性能スポーツカーの先進的なスタイルや高出力のパワーユニットに夢中になった。
そんなスーパーカーのカッコ良さを象徴していたのが、通常走行時はボディ内に収納されていて空気抵抗を抑え、夜間になると立ち上がって照明となるリトラクタブル式ヘッドライトだった。
ポルシェなどの一部のモデルを除いて、スーパーカーブームで人気を集めたクルマの多くにこのリトラクタブルヘッドライトが採用されていて、この人気はやがて超高級車だけでなく、より手の届きやすい国産スポーツカーにも波及していった。
まずはマツダが2ドアスポーツのRX-7でリトラクタブルヘッドライトを採用すると、トヨタもセリカのハイグレードモデル・XXをリトラクタブルヘッドライト仕様にした。そして日産 シルビアやホンダ CRX、そしてトヨタのAE86トレノと、1980年代のスポーティなクルマはこぞってリトラクタブルヘッドライトを装備した。
だが、特に収納時のスマート感は抜群だったリトラクタブルヘッドライトも、機構的に通常のライトより重くなり、コスト高を招くことに加えて、急な故障の際には夜間走行の安全性が低下するなどの問題があったのも事実。
一部の地域ではヘッドライトの最低地上高規制があり、これをクリアするためにリトラクタブルヘッドライトを採用した例もあったが、この規制も緩和され、徐々にリトラクタブルヘッドライトを採用する必然性はなくなっていった。
こうした流れによってリトラクタブルヘッドライトを装備するクルマの数は減少し、現在の新車ラインナップでリトラクタブルヘッドライトの採用例はない。スーパーカーブームを知っている世代にはさみしい限りだが、これもまた時代の必然なのかもしれない。
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コメント
コメントの使い方どの会社も多くの資本とマンパワーを割いた上で、真剣に選び抜いています。その多くが選ばなかったのなら、必ずそれだけの理由があるのです。
DOHCや直噴など利点が大きいなら即全社が追従します。コンコルド効果のまま市販されたものを、貫いたと言い換えても現実は変わらない。
ボクサー好きとしてはもう新規で作られないのは哀しいですが・・・時世考えると賢明かな