■記憶力や判断力を測定する検査も必須
一定の違反歴がない方や運転技能検査に合格した方は、「認知機能検査」を受けます。
認知機能検査は、記憶力や判断力を測定する検査です。検査内容は、記憶力を検査する「手がかり再生」と時間の感覚を検査する「時間の見当識」の2項目で構成されています。
「手がかり再生」とは、手がかりをもとに記憶を再生する検査です。16枚の絵を記憶してもらい、一定時間経過(介入課題)後、どれだけ再生できる(記憶している)か検査します。
「介入課題」は、指定された数字を斜線で消していく課題です。手がかり再生の回答までの時間を空けることが目的となっています。
介入課題を実施したあと、手がかりなしで再生を実施する「自由回答」の時間があり、その後、手がかりを元に再生する「手がかり回答」を実施します。
「時間の見当識」は、受検者がおかれている時を正しく認識しているか確認するものです。検査時の年月日や曜日、時間を回答します。
認知機能検査の結果、「認知症のおそれなし」となった場合は高齢者講習を受講して免許更新となります。一方、「認知症のおそれあり」という結果になった場合は、「臨時適性検査」または「主治医等の診断書の提出」が必要です。
検査または診断書によって、認知症でないと認められた場合は高齢者講習を受講して免許更新となり、認知症と診断された場合は免許の停止または取消となります。
■教習所の対応はかなり大変
教習所では、認知機能検査や高齢者講習を実施しています。しかし、年齢や違反歴などによって、検査を先に受けるのか、講習だけを受けるのかが変わるため、指導員の確保や予約枠の確保が難しいようです。
また、高齢者の運転指導は教習所内のコースを使って行われます。つまり、高齢者講習の運転者と免許取得のために通っている教習生が教習所内のコースに混在するタイミングがあるということです。
ビュンビュン走る高齢者と初めて車を運転するゆっくりな教習生が同じコース内で走っている様子を見ると、事故になるのでないかと思ってしまいます。ただ、講習と教習のどちらも、補助ブレーキが付いている教習車で行われ、いざというときには指導員が車を停めることから事故にはなりません。
さらに、高齢者講習と教習のどちらも決められた課題を行わなければならないため、教習所内の思わぬところで渋滞したり、混雑したりすることがあります。
教習所は、高齢者講習と教習を両立させるために、さまざまな工夫をしていますが、高齢者講習を実施できる指導員が限られているため、運営は大変だといえるでしょう。
■自らの命を守るためにも免許を保有し続けるか考える機会に
高齢者講習は、高齢者による交通事故を減らすために実施される講習です。高齢者講習を受講する際には、運転や記憶力・判断力を見直すいい機会だと捉えて受講し、自らの能力を客観的に判断してもらうとよいでしょう。
また、客観的な判断を元に免許を保有し続けるか考えることも大切です。住んでいる地域や環境などによっては免許がなければならないというケースもありますが、自らの命を守り、他人を巻き込む交通事故を起こさないためにも、講習や検査の結果次第で免許の返納を考えてみても良いのではないでしょうか。
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