高齢ドライバーによる逆走やアクセルとブレーキの踏み間違いによる暴走、認知症起因の信号&一時停止無視、当て逃げ、心臓や脳の疾病による事故などが依然として起きている。
いわゆる『後期高齢者』といわれる75歳以上の免許所有率は極めて高く、同時にクルマ好きの方も多い。安全確保の取り組みの内容や実効性について考える。
※本稿は2022年6月のものです
文/国沢光宏、写真/AdobeStock(メイン写真=naka@AdobeStock ※画像はイメージです)
初出/ベストカー2022年7月26日号
■「高齢者講習年齢引き下げ」に「サポカー限定免許!」 実効性は?
高齢ドライバーによる逆走やアクセルとブレーキの踏み間違いによる暴走、認知症起因の信号&一時停止無視、当て逃げ、心臓や脳の疾病による事故などが依然として発生している。
今年から我が国の人口ピラミッドで最も人数が多い団塊の世代と呼ばれる74~76歳(800万人程度)の先輩世代も、75歳以上の『後期高齢者』という区分になっていく。
この世代の免許所有率は極めて高く、同時にクルマ好きが多い。今後、どうやって安全を確保していけばいいだろう?
警察は免許制度の強化で対応しようとしている。
実際、5月13日から高齢者の免許更新制度が厳しくなっている。具体的には、今まで75歳以上に義務付けられてきた内容を70歳まで引き下げ、高齢者講習を受講しなければならなくなった。
内容は座学1時間とコースでクルマを運転する実車講習が1時間というもの。これを免許更新までの事前受講としている。
ただ実車講習で危険運転しても免許更新には関係なし。という点で実効性はないと考えます。
75歳からは相当複雑になる。
1)最初に認知症のチェックを受ける(不合格だと医師の判定を受ける)
2)1)に合格したら、70歳と同じ高齢者講習を受ける
3)ただ駐車違反などごく一部を除く交通違反をした人は、実技試験を受けなければならない。ここで合格しなければ免許更新不可
我が国のゴールド免許所有率を考えれば、75歳になったら基本的に免許更新ごとに運転免許試験を受けなければならないということ。
警察としちゃここで危なっかしいドライバーから免許を取り上げようという作戦なんだと思う。
特徴的なのが「段差乗り上げブレーキ」だ。歩道を想定した段差を乗り越えた後、アクセルからブレーキに踏み換えて停止するというもの。
前方に設定された停止線を越えると20点の減点。
普通免許の場合、70点が合格点。10点くらいの減点は誰でも食らうと思う。段差乗り越えブレーキで停止できなければ、基本的に更新できないと考えていいだろう。
ただペダルの踏み換え速度をチェックするなら、視力検査と同じく実車じゃなくてもできる。なぜワザワザ実車で行うのか不明。免許取得者減少による教習所の稼働率を上げるためか?
また、左足ブレーキについてまったく触れていない。道交法でも禁止されていない左足ブレーキを使っていいのならお茶の子さいさいですワな。
個人的にはペダルの踏み換え速度とブレーキを踏む強さが重要だと思っている。実車で行わず、シミュレーターでやるべきだと考えます。
『サポカー限定免許』というのも始まった。中型限定などと同じく運転できる車両を限定するというもの。
ただサポカー限定免許に切り換えるのは任意。年齢縛りじゃない。ということから誰も選ばないと思う。
個人的にはペダル踏み換え時間が標準より少し遅い人を対象にサポカー限定とし、任意保険料の優遇をしたらいいと思う。
5月13日から始まった高齢者対策、とりあえず不満ばかりです。実効性を優先して欲しい。
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コメント
コメントの使い方70歳代、高齢者講習受講済み。次回からゴールドでも3年更新です。一定の違反があった高齢者の実車検査(不合格あり)は賛成です。年々やってくる衰え対応するために、高齢者の1年更新を提案します。サポートカーや地域限定免許も、改造の助成や税金の優遇で応援したらいいと思います。
あわせて、若者現役世代でも危険な運転手には、再取得の制限、講習、時速60キロ制限のサポートカー免許も検討したらいいと思います。