エンジンは床下に75度傾けて搭載!
トヨタがエスティマの基礎研究と開発に乗り出したのは1983年(昭和58年)である。最初はハイエースの後継ワゴンとして企画され、コードネーム「1BX」と名付けられた。
これが「エスティマ」開発へと発展し、84年にはカリフォルニアのCALTYでデザインの検討に入っている。デザインテーマはタマゴのように丸みのあるデザインだ。個性的な球面ボディを採用し、正式発売後には「天才タマゴ」のキャッチフレーズが使われた。
パッケージングは、キャブオーバースタイルの商用1ボックスのノウハウとワゴン設計で培ってきた技術力を融合し、どの席でも快適に座ることができる。
ボディサイズは、北米市場をメインに置いて決められた。紆余曲折はあったが、最終プロトタイプは年号が平成に変わった89年10月に開催された第28回東京モーターショーでベールを脱いだ。北米向けの左ハンドル車を展示したので海外名のプレビアを名乗ってのデビューだった。
ショー会場で話題をさらい、90年5月に日本仕様が発表されている。正式車名は「エスティマ」だ。
短い鼻を持つ1.5ボックススタイルのボディは全幅を1800mmとした3ナンバーサイズで、安定感が際立っている。全長は4750mmだった。また、エアロダイナミクスにも力を入れ、Cd値は0.35を達成している。
インテリアも未来感覚にあふれていた。インパネの両端を大きくラウンドさせ、メーターはタマゴ型デザインだ。シート配列は3列で、フロントシートの間から2列目の席へウォークスルーできる。
新世代のマルチサルーンを掲げたエスティマのパワーユニットは、新開発した2.4Lの直列4気筒DOHC(ハイメカツインカム)だ。これを中央のフロア下に75度傾けて搭載した。画期的なアンダーフロア・ミッドシップの採用により、軽快なフットワークを実現している。
4輪独立懸架の採用と長いホイールベースの採用もあり、優れた乗り心地も手に入れた。ブレーキは4輪ともベンチレーテッドディスクで、ABSも標準装備だ。
92年1月に全長と全幅を詰め、日本の小型車枠にダウンサイジングしたルシーダ/エミーナを投入。2.2Lのディーゼルエンジンも追加する。これに続き、エスティマにスーパーチャージャー仕様を設定した。
エスティマと、子エスティマと呼ばれたルシーダ/エミーダは99年12月まで10年にわたって販売を続け、ルシーダ/エミーダは最盛期には月に2万台の販売を記録している。エスティマだけでも16万台を超える販売を記録し、日本にミニバンブームを巻き起こした。
ハイブリッドシステムをいち早く採用した2代目
2代目は2000年1月に登場する。北米向けモデルとルシーダ/エミーナは整理されたが、随所に大ヒットした初代モデルの面影を残していた。伸びやかなワンモーションフォルムを採用し、スライドドアは両側に装備する。メカニズムも一新し、前輪駆動ベースとなった。
パワーユニットは3LのV型6気筒が主役だ。遅れて2.4Lの直列4気筒ハイメカツインカムが加わり、2001年6月にはプリウスに続いて革新的なハイブリッド車を設定する。
スタイリッシュなエクステリアと視認性に優れたセンターメーターに加え、キャビンは広々として快適だ。パワーユニットも多彩だから引っ張りダコの人気車になっている。
THS-Cと呼ばれるハイブリッドシステムに世界初の電気式4WDシステムのE-Fourを組み合わせたハイブリッド車の投入も、エスティマ人気を後押ししている。
カローラ、ヴィッツとともにトヨタの躍進に大きく貢献し、月販1万台を超えることも珍しくなかった。モデル末期まで安定した人気を保った2代目エスティマは、トヨタを代表する名車にのし上がっている。
ミニバンブームをけん引した3代目エスティマは2006年1月に登場した。エクステリアはキープコンセプトのデザインだが、2代目より精悍なフォルムだ。エンジンは3機種あり、V6エンジンは3.5Lまでスケールアップされている。
2.4Lの4気筒は自然吸気が最初に登場し、モーターを加えたTHS-IIハイブリッドシステム搭載車が遅れて加わった。
燃費がよくなったし、環境問題を意識する人も増えたため人気が上昇している。また、1500Wの電源供給を可能にするAC100Vのアクセサリーソケットも、2011年3月の東日本大震災で注目を集め、人気にひと役買った。
コメント
コメントの使い方エミーナ、2代目、3代目と乗り継いできたけどモデルが無くなってしまい乗り換え先がない…アルファードでもいいんだけど顔がなあ…家で充電できる環境も整ったし、BEVかPHEVにして復活してくれないかなぁ
エスティマをphevにして再販して欲しい・・・
エスティマは後継があれだけ長く売れた上に大規模MCまで受けたのだからずっとマシな扱いでしょう。
MPVは燃費以外とても良かったのに続かず、やっと出たCX-8は全く別物の使い辛い長SUVになっていました。
マークXジオも一切売れず消え、成功したオデッセイまで消え…価値観が変わり、家族を最優先できる者にとっては中途半端という時代になったのかも知れません。