なぜレギュラーとハイオクを分けるのか?
ハイオクガソリンはレギュラーに比べて異常燃焼しにくいという特性がある。この特性が生きるのは混合気の圧縮比を高めた時だ。ガソリンエンジンでは、ガソリンと空気を混ぜた混合気を圧縮し、そこで着火して燃焼させる。この圧縮比が高いとエンジンの出力が大きくなるため、スポーツカーや大排気量高級車の圧縮比は高めに設定されている。しかし、圧縮比が高まると異常燃焼のリスクも増えるので、ハイオクガソリンを使ってこれを抑えるというわけ。
圧縮比が低いと得られるパワーも低くなるが、それによってエンジンを構成するパーツの負担は減り、結果としてコストの抑制や長寿命化に貢献する。こうした理由があり、一般車のエンジンはレギュラーガソリンでも異常燃焼を起こしにくい圧縮比に設定されている。
これらのエンジン特性に合わせてレギュラーとハイオクの2種類が用意され、オーナーは自分のクルマに適したガソリンを選んで給油を行う。
よくある? 軽油の勘違い
ディーゼルエンジンでは、高圧縮した燃料(混合気)を自動着火させて爆発力を得る。もっとも、近年では効率を重視してあまり圧縮比を高くしないディーゼルエンジンも存在するが、それについてはひとまず置いておこう。
こうしたエンジンの要求に応えられるのが着火性に優れた軽油だ。しかし、この「軽油」という名称がクセモノで、「軽」の文字から軽油を軽自動車用の燃料だと勘違いしている人が意外に多い。
軽自動車はあくまで小型軽量なガソリンエンジン車であり、給油する際にはレギュラー、もしくはハイオクガソリンを選ぶ。スタッフが給油してくれるガソリンスタンドなら大丈夫だが、自分で油種を選ぶセルフスタンドでは、間違った種類の燃料を給油してしまったというミスが発生する可能性が高い。
JAF(日本自動車連盟)が2018年に行った調査では、その年の燃料入れ間違い件数が390もあったとのこと。これはJAFに報告された件数だけなので、実際にはもっと多くの入れ間違いが発生しているものと推測される。
では、燃料を入れ間違ってしまった場合、どんなことが起きるのか?
燃料を入れ間違ったらどうなる? どうする?
■レギュラー指定車にハイオクガソリンを入れてしまった
ガソリンエンジンの場合、レギュラー指定のクルマにハイオクを入れても深刻な問題にはならない。もちろん適正な圧縮比は異なるため、ハイオクによってエンジンのパワーや燃費が向上することはほとんどない。
ハイオクガソリンにはオクタン価を高める添加剤や、燃焼によって生じた燃えカス用の洗浄剤も含まれているが、それでレギュラー指定車のエンジン内部がキレイになるわけではない。つまり、トラブルこそ起きないものの、レギュラーより高額なハイオクガソリンを入れるのは差額分の損をしているとも言える。
なお、現行のスバル レヴォーグはレギュラーガソリン指定車であり、取り扱い説明書にも「ハイオクガソリンを給油した場合、燃費や始動性の悪化が起こることがあり、性能を十分に発揮できません」という記載がある。同車のオーナーは十分に注意してほしい。
■ハイオクガソリン指定車にレギュラーを給油した場合
この場合もすぐに大きなトラブルとなる可能性は低い。しかし、オクタン価の低いガソリンではノッキングを起こしやすくなり、これがエンジンにダメージを与える危険性も皆無ではない。
誤ってハイオク指定車にレギュラーガソリンを入れてもそれを抜き取る必要はないが、不測のトラブルを防ぐ意味もあり、次回からは正しいガソリンを選ぶことを徹底したい。
■ディーゼルエンジン車にガソリンを給油
これは先のレギュラー/ハイオク間違いより深刻な問題を引き起こす。もともと軽油専用に設計されたディーゼルエンジンは、ガソリンを入れても始動はするが、すぐにパワーが出なくなり、アイドリングも不安定になる。最悪の場合エンジンが破損する可能性もあるので、入れ間違いに気づいたらエンジンを始動しないことが重要だ。
■ガソリンエンジン車に軽油を入れると?
こちらも軽油の混ざったガソリンでエンジンを始動すると、パワーが大きく下がって黒い排気ガスが発生し、エンジンが停止してしまうケースもある。この状態で無理に走行すると、やはりエンジンが壊れる可能性もあるので注意してほしい。
コメント
コメントの使い方はっきり言って、自分の車の使用燃料が分からない、間違えるってヤバいと思うよ。
例え車に詳しくなくても、説明書を読めば良い話。
代車へ給油をする時は尚更要注意だな。