アウディのCMで話題!! 「ハンドルが引っ込むクルマ」は実現するのか?

自動運転はレベル4以上、車-車間通信も必要

 「高度な自動運転技術」については、運転の主体がクルマ側となる「レベル4以上」が必要となる。

 2022年現在、市販車で実現された世界で最高レベルの自動運転技術は、2021年に登場したホンダ「レジェンド」の渋滞運転機能「トラフィックジャムパイロット」だ。日本の国土交通省が、世界で初めて自動運行装置として型式指定を行った、「自動運転レベル3(限定領域での条件付自動運転車)」に適合する先進技術であり、レジェンドが世界初の実用化となった。スカイラインやBMW、レヴォーグなどがアピールする手放し運転(自動運転レベル2)とは比べものにならないほど高度な技術だ。

 ただ、ステアリングを格納しての自動運転を実現させるには、システムの介入要求に、ドライバーが(ある程度の領域で)応答しなくてもよい状態にならなければならず、そうなると最低でも「レベル4(高度運転自動化)」が必要。現在の技術でも機能的には実現可能だろうが、あらゆる「万が一」に備えられる強固なシステムが必要となる。

 これら自動運転レベル4に必要な、クルマ側のセンシング技術向上は当然だが、自車だけが「完全自動運転」となっていても、安全確保は難しい。周囲を走るクルマと通信して安全確保する車-車間通信や、道路や信号といったインフラ側ともつながる路-車間通信など、周囲の環境も含め、自動運転に対応させる必要がある。

人工知能の搭載も必要か

 SF映画「アイロボット」(2004年公開)では、2035年を生きる主人公のスプーナー(ウィル・スミス)が、自動運転中のアウディの車内で眠っている最中に、トラックに乗ったロボットの集団が出現、異常な事態を予知したアウディがドライバーを起こし、マニュアル運転モードへと切り替える、というシーンがあった。

 クルマ自身がこうした「予知」をして、「判断」を下すには、人工知能の搭載も必要となるだろう。ただ、自動車メーカーとしても、こうした交通社会を想定して研究をしているはず。映画のように、2035年には「レベル4」クラスの自動運転が実用化され、ハンドルが格納されるのか!?? 今から楽しみだ。

 ※編集部注/自動運転を研究するメーカー開発者と話すと、「自動運転」という言葉の奥深さを実感します。現在自動運転は国際規格として「レベル0」(自動運転なし)から「レベル5」(完全自動運転)まで段階付けされていますが、その境目はくっきり分かれているわけではなく、たとえば現在日本国内一部で実用化されている「レベル3」技術搭載車両での走行は、周囲の状況やドライバーの意図によって0~3へ行き来することが前提とされています。高速道路を走る場合でも、「レベル3」状態で走れるのは行程の1/3程度でした。

 「ハンドルが引っ込むクルマ」には本文内にあるとおり「レベル4」(ブレインオフ/運転意識の除外が可能)技術が必要ですが、引っ込んでいる状態はクルマとドライバーが「レベル3」(アイズオフ/視線解放)や「レベル2」(ハンズオフ/ハンドルからの手放し)状態へ復帰するまでタイムラグが発生することを示しており、その点をどのようにフォローするかが鍵となるでしょう。あと数年で中国で「レベル4」が一部都市で実現化すると言われていますが、おそらく閉鎖空間での走行(「レベル4」以外の車両が走行していない状況)になると思われます。

 「レベル4技術がどう成立するか/成立したら何が出来るか」だけでなく、「そのレベル4車両は、どのレベルの車両と混じって走ることができるか」というポイントもあり、(期待が大きいものの)ハードルはまだまだ高いな…と実感する次第です。)

【画像ギャラリー】「ハンドルが引っ込む」クルマには欠かせない ステアバイワイヤを搭載する日産「スカイライン」と、世界初の自動運転レベル3を実現した、ホンダ「レジェンド」(20枚)画像ギャラリー

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