スバルはこのほど、クロスオーバーSUVのフォレスターにSTI Sportを追加設定した。STI Sportは、通常のグレードに比べて走りの純度や装備がかなり磨き込まれているという。
最初にSTI Sportが設定されたのは先代の初代レヴォーグで、初代WRX S4、初代BRZ、現行インプレッサスポーツ、現行レヴォーグ&WRX S4に続いて初めてSUVであるフォレスターにも設定。具体的には素のモデルとSTI Sportでは走ってみて何が違ってくるのか、その違いについて山本シンヤ氏が語る。
文/山本シンヤ、写真/ベストカー編集部、SUBARU
■BMW MやメルセデスAMGの潮流へ移行
1988年に設立されたSTI社はスバルの100%子会社である。もともとはモータースポーツ活動のための会社だったが、その経験や知見を活かしたコンプリートカーやスポーツパーツの開発・販売なども行なっている。
当初はノーマルよりも尖ったモデルが多かったが、その思想が変わり始めたのは2001年に登場のS401(3代目レガシィがベース)から。この頃からBMWの「M」や「アルピナ」、メルセデスベンツの「AMG」を意識するようになり、速さ一辺倒ではなくトータルバランスを重視したモデルに変貌。
さらに2006年にスバルから辰己英治氏が移籍してからその流れはより強くなり、「運転が上手くなるクルマ」と言うブレない軸の元に商品作りが行なわれている。
■「STIの民主化」が新たにスタート
2014年に発表された中長期経営ビジョンの取り組みのひとつに「STIブランドの強化」があった。この課題に対して、当時スバルの常務執行役員技術副本部長だった平川良夫氏(後にSTI代表取締役社長に就任)は「STIブランドの民主化」を唱えた。そのひとつが今回のお題となる「STI Sport」だ。
これまでのSTIコンプリートカーは究極を目指す「Sシリーズ」とライトな「tS(古くはtuned by STI)」とふたつのラインナップが用意されていた。STI SportはtSに代わる存在だが、それとは異なる「第3のSTI」という新たなキャラクターが盛り込まれている。
具体的には、スバル初心者にとっては「STIはこんなブランドですよ」、スバル上級者にとっては「STIはこんな味付けもできますよ」という新たな提案でもあった。
ちなみにtSはシャシーチューニングがメインで、ステアリングを握るとノーマルとは異なる独自の世界観が構築されていたものの、乗る前の段階……内外装に関してはコンプリートモデルとしての特別感が少なかった。
これには理由があり、従来のSTIコンプリートカーはノーマルの部品を外して、コンプリートカーに必要な部品を後から取り付ける……つまり、「後架装」により製造されていたので、変更できる部品に限界があったのだ。
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