■新ジャンル、量産型コンプリートカーがSTI Sport
そこでSTI Sportはスバルの「大きな組織の力」とSTI社の「小さな組織ならではのひと手間のこだわり」の融合に挑戦。そのひとつが「スバル×STI社の共同開発」、そしてもうひとつが「スバルの量産ラインでの生産」である。
つまり、STI Sportは「量産コンプリートカー」と言う新たなジャンルを切り開いたモデルだ。その結果、絶対的な価格を抑えることはもちろん、従来のSTIコンプリートカーでは難しかった“大物”部品の変更が可能……というメリットも生まれた。
そんなSTI Sportは2016年に初代レヴォーグに追加されて以降、2017年にBRZ、2018年にWRX S4とラインナップを拡充。2020年にはインプレッサ、そして、2022年にはフォレスターにも設定された。では、ノーマルとは何が違うのか?
その代表例が、専用のフロントマスクを採用したエクステリアや、ボルドー色を基調とした専用インテリアなど、ひと目で「ノーマルと違うよね!!」と言う差別化が行なわれる。
フットワーク系は専用の補剛アイテムやサスペンションセッティングを中心に実施。変更箇所は従来のSTIコンプリートモデルより少なめだが、「STI社のエンジニアが最適化を行なう」という意味では、使う武器が異なるだけで目指した「走りの方向性」は不変だ。
■現行レヴォーグ&WRX S4からタッグを強化
ちなみに2代目レヴォーグ、2代目WRX S4からはスバル×STIのタッグがより強固なものとなっている。実はSTIのエンジニアがスバルに出向、企画段階から開発に携わっているのだ。
その結晶がパワートレーン、ステアリング、サスペンション(アダプティブダンパー)、AWD制御の味付けをドライバーの好みで可変できる「ドライブモードセレクト」で、後架装では実現できないアイテムだ。
加えて、年々高度になりつつある先進安全デバイスの適合もタッグを組んでいるからこその強みであり、スバルの「安心・安全」が担保できているのもポイントだろう。
ちなみにSTI Sportは基本的にはパワートレーンはノーマルモデルに準じているが、2代目レヴォーグは専用のエンジン搭載モデル(STI Sport R)も設定される。
■しなやかさを保ちながら、より攻めたくなるのが持ち味
走りの違いはどこにあるか? 全車に共通するのはノーマルより無駄な動きを抑えながらもしなやかさを損なわない塩梅のボディコントロールとノーズの入りのよさなど、より攻めたくなる味付けになっている。
スポーティだから乗り心地が悪い……というのも過去の話で、ノーマルよりも引き締められてはいるが、カドが取れた優しい入力、シットリとした足の動き、人の感覚にマッチした吸収性などによりスッキリした乗り心地で、体感的にはむしろノーマルよりも快適に感じるほど。
さらにレヴォーグやWRX S4はドライブモードにより、これにより万能な「ノーマル」に加えて、STI Sportを忘れるほど穏やかで優しい乗り味の「コンフォート」、軽快でキビキビ感が増しやる気スイッチが入る「スポーツ+」など、まさに「キャラ変」という言葉がふさわしい多様な乗り味を用意している。
ただ、量産ラインでは装着が難しい部品があるのも事実で、その先はこれまで同様にSTI社が独自に開発を行なう「スポーツパーツ」をプラスすることで、STIらしさの純度がさらに増すのでお薦めだ。
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