クルマの走行性能を決める重要なファクターのひとつに車重がある。では、クルマは軽ければいいのか? 重いクルマはどのような理由で車重がかさんでしまうのか? 今回は車重の軽重におけるメリット・デメリットを考え、どんなクルマが軽く、そして重いのかを見ていくことにしよう。
文/長谷川 敦、写真/トヨタ、マツダ、スズキ、ダイハツ、Newspress UK
【画像ギャラリー】軽さのメリット、デメリットを考える!(13枚)画像ギャラリーどうして軽いクルマがいいとされるのか?
まずは車重が軽いことのメリットを考えてみたい。
物体を動かそうとする場合、重いものより軽いもののほうが動かしやすいのは感覚的にもわかるはずだ。これはクルマにも当てはまり、停止状態のクルマを発進させる際に必要なエネルギーは、重いクルマより軽いクルマのほうが小さくすむ。
これは動いている物体を止めたい場合でも同様で、クルマを停止、あるいは減速させるのに必要なエネルギーは、重いクルマのほうが大きくなる。
つまり、軽いクルマは燃料の消費か少なくなり、ブレーキのサイズ(容量)も重量級のクルマに比べると小さくてよいということ。もちろん、タイヤに同じパワーを与えた場合、軽いクルマの加速力は重いクルマのそれに勝る。
さらに言うと、コーナリング中の遠心力は重いクルマのほうが大きくなるので、タイヤのグリップが同じだと仮定すると、安全にコーナーを回るには重いクルマは軽いクルマよりもスピードを落とさなくてはならない。また、コーナリング中に限界を超えてクルマが滑り出してしまった時も軽いクルマのほうが制御しやすくなる。
ここまで見てきたメリットをすべて生かせるクルマのカテゴリーがスポーツカーだ。スポーツカーは、軽く仕上げることで加速力が高まると同時にコーナリングの限界も高まり、ブレーキの利きも良くなる。要するによく加速してよく曲がり、キッチリと止まるクルマになるわけだ。
重いクルマにメリットはあるのか?
車重が重い場合、先にあげた軽いクルマのメリットが得られないということになる。まずは燃費が低下し、ブレーキに加わる負担も増える。そしてコーナーでの限界速度が下がってしまう。そう考えると重いクルマにはメリットがないようにも思えるが、実はそうではない。
クルマを純粋な運動する物体と考えた場合、重いことに特にメリットはない。しかし、乗用車が重くなるには十分な理由があり、その理由がメリットにつながる。
まずは車体の剛性だ。多人数が乗る大型のクルマでは、それを支えるために強固なフレームを作る必要がある。強固なフレームは重い車体を支えるだけでなく、衝突時の衝撃に対して強くなる。また、フレーム剛性が高いクルマは走行中のねじれも少なくなり、これが乗り心地の良さにも貢献してくれる。
近年は衝突安全に関する対策がより高度なものとなっていて、それにつれてクルマの車重は増加傾向にある。運動性能を考えるとマイナスに感じてしまうが、安全性を優先するのは当然であり、ドライバーを含めた搭乗者を守るためには仕方ないことでもある。
コメント
コメントの使い方「同じスピードでぶつかった際には、運動エネルギーは軽いクルマのほうが小さく、搭乗者が受ける衝撃も小さくなる」
相手がいる衝突では、重い車が相手を押す力が強くなるので、重い車のほうが衝撃が少なくなる
相手を押さない壁などへの衝突では、人の重量のみが評価されるので、等価になる
重量税を安くあげたいこともあり、10年前に車を購入する際に、当時の新車で1t切りの車を探して、デミオのMT車にしたくらいには重量を気にしています。
フィアット500も検討したけど、1t切りの車種がなくて候補から外したものです。
軽い車はちょっと移動させる際に、手で押しても苦にならない点もメリットですね。
500は意外と重いんですよね。