なぜかクルマ酔い? 新型クラウンクロスオーバー試乗会で起きたことを分析してみた

上下のボディモーションはやや大きめながら、サス設定に特段酔いやすくなる原因は見当たらない

新型クラウンクロスオーバー Gアドバンスレザーパッケージの内装
新型クラウンクロスオーバー Gアドバンスレザーパッケージの内装

 試乗した新型クラウンクロスオーバーは、2.5Lハイブリッド「Gアドバンスレザーパッケージ」(税込570万円)、21インチのミシュランeプライマシー(225/45R21)を装着した、内装「フロマージュ」カラーの本革シートのモデルだ。「DRS(後輪操舵)」は全グレード標準装備であるため、特に、交差点などでの低速小回りはかなり機敏だ。電制ショック「AVS」は含まれていない(上級グレードRSのみ標準設定)。

 新型クラウンクロスオーバーの乗り心地は、先代のダンピングが効いた欧州車のような乗り味とは違い、ソフトな印象。21インチタイヤの突起ショックをいなすためか、圧縮側の減衰が緩めに設定されており、それに伴って、伸長側も減衰が低くなっている様子がある。

 そのため、路面に大きめのうねりがあると、上下に動くボディモーションはやや大きめに現れる。ちょっと昔のクラウンロイヤルの乗り味に近い印象だ。ただし、これくらいの乗り心地の設定は、大きめのSUVやミニバンでもよくある特徴であり、クラウンクロスオーバーだけが特別、「緩いサス」ということではない。

 また一般的に、開発の段階で、酔いやすい周波数を避けるよう、上下バネ定数やロール方向周波数を、おおよその相場の範囲に入るように考慮されており、クラウンクロスオーバーもその範囲にあるように思う。

●柔らかいシートには問題はなさそう、あるとすると後席からの前方視界??

 また、前後席シートは共に、尻下のクッションの厚みを充分に確保しているので座り心地がソフトだが、ソファのように、上下にボヨボヨと跳ねることはなく、体重をかけるとすっと沈み込むような印象だ。ショルダー部分には大きなサポートもあり、左右への身体の振れは少なく、後席シート自体には要因はないように思う。

 ただし、前席シートの背もたれが大きく、後席からの前方視界は、あまりよくない。トヨタのエンジニアによると、後席から前席をのぞき込むようなスタジアム感をなくし、後席乗員へ包まれ感を与えたかったそう。クルマ酔いをした編集さんは後席に乗っていた時のほうが辛かった、ということなので、この前方視界がよくなかったことが原因となっている可能性はあるかもしれない。

サス特性と運転操作、そこへ緊張が重なって引き起こされたか? それとも?

 また、運転操作にも問題があった可能性はある。乗り心地を確かめながら走った往路では、レーンチェンジも最低限に、ゆったりと流すイメージで走行していた。だがクルマに慣れてきた往路では、試乗会の集合時間が迫っていたことや、勝手を知る地域の高速道路ということもあって、コーナーもやや飛ばし気味で、往路よりもスピードレンジは高かった(もちろん制限速度の範囲内で)。

 総括すると、今回のクルマ酔いは、上下左右のボディモーションが大きめに出るサス特性に加えて、クルマ酔いを引き起こした編集さんが後席に乗った復路では、往路よりも少し速度レンジが高かったために余計にボディモーションが出てしまっていたため、酔いやすい状態であった。加えて、当事者が当日緊張していたという心理的要因も重なり、クルマ酔いを引き起こしてしまったのではないか、と考えられる。また、後席からの前方視界がよくなかったことも関係している可能性はあるかもしれない。

 同じタイミングで後席に乗っていたもうひとりが何ともなかったことを考えれば、当事者の緊張がやはり一番大きな要因であったのだろう。新型クラウンは、個人的には、さらにソフトなサス設定であってもよいと思うが、これらを考えると、できれば、上下のボディモーションを抑制する電制ショック(AVS)は、ベースグレードでも必要かもしれない(AVSは上級グレードRSのみ)。

【画像ギャラリー】街中での存在感スゴッ! 公道試乗会で撮影した新型クラウンクロスオーバー(20枚)画像ギャラリー

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