長かった残暑を過ぎて、徐々に季節は秋から冬に向けて移り変わっている。いつの間にか富士山頂には雪が積もり、北海道など日本北部では降雪が始まっている。
雪の季節に必須の装備といえば、スタッドレスタイヤだ。今回は2022年の地域ごとの降雪予想を踏まえて、スタッドレスタイヤへの替え時や、スタッドレスタイヤの慣らしや注意点など解説しよう。
文/藤田竜太、写真/ベストカー、Adobe Stock(トップ画像=scharfsinn86@Adobe Stock)
■北国からは冬の便りがチラホラと
ついこの間までTシャツで過ごせていたのに、11月に入った途端、北海道から冬の便りが続々と。旭川と函館、網走では2022年11月4日に「初雪」が観測されたとのこと。
というわけで、そろそろ本格的にスタッドレスタイヤの出番の季節だ。
NEXCO東日本によると、東北6県の冬用タイヤ装着率は、11月の第1週が25%、第2週が40%、第3週が62%、第4週が77%、12月の第1週が89%、第2週が95%とのことで、早めの冬用タイヤの装着を呼びかけている。
基本的には初雪の一ヶ月前、遅くとも2週間前にはスタッドレスタイヤに交換しておくようにしたい。
もちろん雪の季節の到来は地域によってかなり異なるが、気象庁が「霜・雪・結氷の初終日」の情報を発表しているのでこれを参考にするといいだろう。
例えば、北海道 札幌市の初雪の平均値は11月1日。仙台は12月11日、新潟市は11月26日、長野市は11月18日、金沢市は11月24日、関東エリアでは東京が1月3日、群馬県の前橋市が12月9日といった具合だ。
雪が降る前にスタッドレスタイヤに交換しなければならないのはわかるけど、一ヶ月前というのは気が早いのでは? と思うかもしれないが、早めの交換を進める理由は4つある。
■スタッドレスタイヤに必要なアレ
ひとつは新品のスタッドレスタイヤには“慣らし”が必要だから。
スタッドレスタイヤは、気泡を含んだゴムなどを採用し、吸水・吸着効果・柔軟性などを持たせているが、工場から出荷されたばかりのタイヤは、タイヤの表面に薄いゴムの「皮」が覆っている。
このタイヤの「皮」は、ゴムを加硫し金型に流し込んで作る製造過程の関係上、どうしても金型から抜いたときにタイヤの表面に生じてしまので、この「皮」をむいてやらないと、スタッドレスタイヤの三大性能、「吸水」「密着」「ひっかき」性能が、十分に発揮されないというわけだ。
またスタッドレスタイヤ、夏タイヤともに、新品から急激に過酷な条件で使用すると異常発熱による損傷を起こしやすく、本来持っている性能を引き出せなくなるだけでなく、タイヤの寿命を縮めることになるので、タイヤのスクラブ(皮むき)はとても重要。
そうしたタイヤの慣らし・皮むきのコツは、次の五点。
・なるべくドライの舗装路面で距離を稼ぐ
・高速道路は避ける
・急発進、急ブレーキ・据え切りなどはNG
・交換して1週間ほどしたら空気圧を調整する
・交換して1ヶ月ほどしたらナットのトルクチェックをする
あとは指定の速度で、指定の距離を走るだけ。各メーカーのスタッドレスタイヤ(乗用車)の慣らしの目安は下記の通り。
・ブリヂストン 60km/h以下の速度で200km以上の走行
・横浜ゴム 時速80キロ以下で最低100km以上走行する
・ダンロップ 80km/h以下/走行距離100km以上
・トーヨータイヤ・ファルケン 80km/h以下の速度で100km以上
・ミシュラン 80km/h以下で100km以上
・グッドイヤー 80km/h以下で100km以上
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