■ファストバックの定義
ファストバックとは、ノッチ(折れ)を持たない、速い背中(fastback)。つまりボディラインが「近道」したバック形状のことだ。
トランク部分がノッチで独立しておらず、リア後端まで直線的に傾斜しているものを指す。多くはハッチバック車だが、独立したトランクを持つ場合もある。
ハッチバック車はほぼ自動的にファストバックに含まれるが、小型ハッチバック車の場合、バックの傾斜がキツくなる。
今回、それらはファストバックには含まないことにした。
目安は、リアウィンドウの傾斜角が30度前後であること。つまり、ある程度全長の長い、中・大型車が中心となる。
■懐かしの5ドア ハッチバック
ステーションワゴンブームがやってくる直前の1980年代、5ドアハッチバックの国産車が、次々と発売された。
ファストバック形状の5ドアハッチバックは、セダンとワゴンの中間的存在。スタイリッシュでスポーティなのに積載性も高いということで、ヨーロッパで人気があり、日本でも売れるのでは? と期待された。
1980年に発売されたホンダ・クイントは、その嚆矢。典型的な5ドアハッチバックボディを持ち、いかにもヨーロピアンなフォルムはツウ受けしたが、販売は思ったほど伸びなかった。
1981年には、日産スカイライン(R30型)に5ドアハッチバックが新設された。ルーフからテールにかけて一直線に伸びたラインは斬新だったが、当時はカッコ優先なら2ドアクーペ、実用性優先なら4ドアセダンの二択で、5ドアハッチバックはどちらの選択肢にも入れず、まったく売れなかった。
1987年には、マツダ・カペラCG(シティギア)が発売された。カペラは1982年の4代目にも5ドアハッチバックが設定されていたが、不振。5代目では捲土重来を期して、あえてCGの名が与えられ、よりスタイリッシュにブラッシュアップされたが、これまた不振に終わった。
あの頃の日本人には、5ドアハッチバックの存在意義が理解されなかった。アウトドアブームもまだ来ていなかったので、トランクにいろいろ積んで遊びに出かけよう、というムーブメントもなく、5ドアハッチバックは、ひたすら中途半端で取り柄のない、無意味なボディ形状に見えたのだ。
いつの間にか、「5ドアは日本では売れない」という法則ができあがり、レガシィツーリングワゴンがワゴンブームを巻き起こすと、完全に忘れ去られ、消えたのである。
【番外コラム】もちろん本家はスポーツカーだった
1980年代、国産5ドアハッチバックが登場する以前は、ファストバックと言えば、2ドアや3ドアのスポーツ系モデルばかりだった。
スポーツカーは、ノッチバッククーペとファストバックが2大勢力。セリカのように「クーペ」と「リフトバック」(ファストバック)の両方を用意するモデルもあった。
個人的に現代のファストバックに通じるものがあると感じるのは1975年に発売された三菱ランサーセレステだ。スッキリした直線ラインのファストバックスタイルは、スカした都会的なイメージで、今見てもイケてるぜ!
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コメント
コメントの使い方で、この変な形の車は誰が買うの?w
クラウン云々じゃなく、普通に車としてカッコ悪い。
若返らせたところで、こんな高い車おいそれと買える若者なんて居ないし、そもそも若者はこんなカッコ悪くてムダなもの買わないでしょ。
ウケるわけないでしょw
新型クラウン?
安っぽいかんじに見えるのは何故?