「あったなぁー!!」と思わず唸りたくなる流れ星のように消えた絶版車たち

6人乗りの意欲作もミニバンブームに乗れず 「ホンダ エディックス」

短命に終わった悲しき絶滅モデルたち
2000年代初期のホンダ車としては標準的な顔つきのエディックス。外観はコンサバティブだったが、2列シートの6人乗りという意欲的なレイアウトを採用

 2004年にホンダから登場したのが新型ミニバンの「エディックス」。ベースとなっていたのは7代目シビックで、全長約4.3m、全幅約1.8mという、ミニバンにしてはコンパクトなボディに「3バイ2」と呼ばれるシートアレンジが採用されていた。

 この3バイ2とは、前後2列にそれぞれ3座席を設ける6人乗りを意味していて、前側3席と後部中央の1席がスライド可能なユニークな構造を持つものだった。これは1列に3名が座った際の窮屈さを緩和するためでもあった。

 発売時のエンジンは1.7リッター仕様だったが、2006年のマイナーチェンジでは2.0&2.4リッターエンジンが登場。6人乗車時でも十分なパワーを得ることができたものの、そもそもこの6人乗りコンセプト自体があまり受け入れられなかった。

 この当時はミニバンに注目が集まっており、各メーカーからさまざまなミニバンが販売されていたことに加え、同じホンダにもストリームという魅力的なミニバンが存在していた。これがエディックスにとっては向かい風となって販売は低迷。2009年にはラインナップから姿を消すことになった。

理想と現実の狭間に泣いた? 「スバル R2」

短命に終わった悲しき絶滅モデルたち
スバルの前身が航空機メーカーであったことを思わせるグリルの造形が特徴的なR2。実用的であることよりも、走らせて楽しいクルマであることを優先した?

 現代の軽自動車は、都市部における使い勝手の良さと省燃費などの利点が注目され活況を呈している。しかし、クルマ好きにとっては少々残念なことに、軽自動車の歴史において、もてはやされるのは主に実用性に関してのみ。だが、時々そんな軽自動車のなかにあって“変種”が登場することもある。ここで紹介するスバルの「R2」も、そうした変わり種のひとつと言える。

 2003年リリースのR2は、何よりもデザイン性の高さがアピールポイントだった。ミニバンブームの影響もあって軽自動車のなかにも四角いクルマが増えつつあるなか、R2のボディは丸さを強調したスタイリッシュなもので、航空機をイメージさせるグリルも個性を放っていた。

 実際にスバルがR2のために用意したキャッチコピーも「新しいミニカーのカタチ。」であり、このクルマに対するスバルの期待の高さもうかがえた。

 エンジンは軽自動車でポピュラーな3気筒ではなく直列4気筒を採用し、自然吸気に加えてスーパーチャージャー搭載仕様も用意。走りを重視するユーザーのニーズも満たすラインナップだった。

 だが、こんな遊び心全開のクルマは実用性一辺倒の軽自動車市場ではあまり受け入れられず、2005年にはフロントグリルのデザインを変更したマイナーチェンジ版が登場するものの、販売は低迷した。

 そうした状況によりR2の販売は2010年で終了となった。クルマとしての出来や評価は高かったが、売れないことには継続のしようもなく、R2もまた一代限りでその歴史を終えている。

ヨーロピアンテイストが奏功せず 「ダイハツ YRV」

短命に終わった悲しき絶滅モデルたち
車名には「若者(Young)向けのRV」という意味もあると言われるダイハツ YRV。サイドウィンドウの形状が独創的で、ダブルウェッジスタイルとも呼ばれた

 ダイハツがかつて販売していたコンパクトカーのストーリアをベースに、よりスポーティなトールワゴンに仕上げたのが「YRV」。「Youthful(若々しい)」「Robust(屈強)」「Vivid(生き生きとした)」の頭文字を合わせた名称を持つこのクルマは2000年にデビューした。

 ヨーロッパでの販売も視野に入れられたYRVは、外観デザインは元より走りの面においても欧州を意識し、ベースモデルのストーリアよりも硬めのサスペンションチューニングが施された。

 エンジンは初代トヨタ ヴィッツにも採用された1.0リッター1SZ-FE型を1.3リッターに拡大し、ターボチャージャー装着タイプも用意。ターボ仕様の最高出力は140psで、このクラスのモデルとしては申しぶんのない動力性能を実現した。

 エッジの効いたボディデザインにパワフルなエンジン、そして欧州仕様の足回り――これだけ見るとYRVは実に魅力的なクルマに思えるが、実際には、コンパクトワゴンにしてはあまりに尖りすぎ、硬めのサスも国内では敬遠されてしまった。

 国内や欧州でのセールスが特別低調だったということもなかったようだが、後継モデルを生み出すほどではなく、2005年にはその製造販売が終わっている。

 今回見てきた5台は、いずれも強い個性と魅力を持つクルマだった。だが、それが販売成績に直結することはなく、残念ながら一代限りで“絶滅”してしまった。これを見ると種の存続がいかに難しいことなのか理解でき、長年に渡って販売されるクルマの偉大さも見えてくる。

 これからも新たなクルマが生まれ、そして消えてゆく流れは繰り返されるだろう。そうした悲劇のクルマにも評価すべき点はあり、クルマ好きならば、たまにはそうしたモデルを思い出すことをせめてもの供養としたい。

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