日本人にはSUVの「ハリアー」が現在のスタンダード!? なぜユーザーの心を鷲づかみにするのか?

■価格は張るが、装備は充実

2022年9月26日に一部改良を受けたハリアー。インテリアの質感も非常に高く、オーナー心をくすぐる仕上がりとなっている
2022年9月26日に一部改良を受けたハリアー。インテリアの質感も非常に高く、オーナー心をくすぐる仕上がりとなっている

 ハリアープラグインハイブリッドのグレードはZのみで価格は620万円だ。高価格だが、装備も充実しており、本革シートなどを標準装着する。ハイブリッドのZレザーパッケージ(514万8000円/E-Four)と価格を比べると、プラグインハイブリッドZは105万2000円高いが、装備をさらに充実させた。

 プラグインハイブリッドZには、ハイブリッドZレザーパッケージがオプション設定としているパノラミックビューモニター(8万8000円)、100V・1500Wの電源コンセント(4万4000円)、おくだけ充電(1万3200円)も標準装着される。

 さらにプラグインハイブリッドの専用装備として、後席シートヒーターなども標準装着され、これらを価格に換算すると合計約20万円に達する。そうなるとハイブリッドとプラグインハイブリッドの正味価格差は約85万円だ。

プラグインハイブリッドモデルが新たに追加されたハリアー。基本的にはRAV4プラグインハイブリッドと共通のパワートレーンとなる
プラグインハイブリッドモデルが新たに追加されたハリアー。基本的にはRAV4プラグインハイブリッドと共通のパワートレーンとなる

 しかもプラグインハイブリッドは、補助金の交付対象に入る。申請により交付を受けられると、ハリアーとRAV4のプラグインハイブリッドでは、55万円(2022年度実績)を受け取れる。

 そうなるとハイブリッドとプラグインハイブリッドの最終的な実質価格差は、30万円に縮まる。前述のとおりプラグインハイブリッドは、充電機能を備えないハイブリッドに比べて、動力性能も高い。実質30万円の上乗せで、高機能なプラグインハイブリッドが手に入るなら、割安といえるだろう。

 ただし、改良を受けたハリアーは納期が超絶的に長い。販売店によると「ハリアープラグインハイブリッドは2022年10月中旬に注文をいただいて、納車されるのは2024年6月以降になる」という。つまり2年近く待たされるから「受注を中止する可能性も高い」とのことだ。

 充電機能のないハイブリッドも「Zの納車は2024年5月以降で、それ以外のGやSは2023年7月以降」だから、納期は短くても9カ月を要する。「2Lのノーマルガソリンエンジンは、ハイブリッドに比べて納期が約3カ月短い」としている。

■納車時期を考えると、ガソリンエンジンのGとSがお薦め

筆者がお薦めするハリアーはガソリン車のG、もしくはSグレードとなる(写真はハイブリッド)
筆者がお薦めするハリアーはガソリン車のG、もしくはSグレードとなる(写真はハイブリッド)

 以上を踏まえると、ハリアーで納期が現実的なのは、約6カ月で納車できるノーマルエンジンを搭載したGやSだ。内装の質や装備を考えると、ノーマルエンジンのG・2WD(352万9000円)を推奨したい。

 プラグインハイブリッドは確かに魅力的だが、納車が2024年6月以降では、待ちくたびれてしまう。納車されるまでに、さらに魅力的な新型車が登場する可能性も高い。

 納期遅延の原因は、新型コロナウイルスやロシアのウクライナ侵攻だから、メーカーも被害者だ。それにしてもクルマを購入しにくい時代になった。

 ちなみに、トヨタが運営するサブスクリプション(定額制でクルマを利用できるサービス)のKINTOは納期が短い。例えば、ノア&ヴォクシーのハイブリッドは、通常の購入では納期が約10か月だが、KINTOなら車両を手配するルートが異なるために1.5~2か月で手に入る。今はKINTOが納期を短く抑える有効な手段にもなっているが、ハリアーは取り扱いの対象外だ。

 ハリアーは先般の改良で、衝突被害軽減ブレーキの性能なども向上させて選ぶ価値を高めた。そのために人気もさらに高まったが、今はパーツの供給状況が悪いため、高人気が裏目に出て納期を延ばしている。

次ページは : ■国内でのハリアー人気の背景には実は3つの理由がある

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