今はもう中古車でしか手に入らない走り屋垂涎のクルマたち。
「頭文字D」とともに青春時代を過ごした50代のおっさん代表が、当時の猛車たちを軽~いノリで紹介します。「イヤイヤ、そこじゃねーだろ!」なんてカタイこと言わないで、「ああ、そうだったよな。またあのクルマ、買いたいぜ!」と、かつてクルマにどハマりしたあの頃の自分を取り戻してみませんか?
文/今坂純也(DIRT SKIP)、写真/トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、FavCars.com
【画像ギャラリー】走り屋が恋焦がれた猛車たちの雄姿を刮目せよ!!(14枚)画像ギャラリー「デコチャリ」世代のおっさん感涙のスーパーFR スプリンター トレノ(AE86)
解説するまでもないが、ハチロクの愛称の由来は1983年にトヨタが発売した4代目カローラ レビン&スプリンター トレノの車両形式番号。1995年に週刊ヤングマガジンで連載が開始された大ヒット漫画「頭文字D(イニシャルD)」の主人公・藤原拓海の愛車がスプリンター トレノだったことや、「ドリキン」の愛称で知られるプロレーサー土屋圭市氏が愛し、今も所有するなど、デビューから40年が経とうとしている現在も話題には事欠くことはない。
1587ccの直列4気筒DOHCエンジン(4A-GEU)にFR(後輪駆動)、コンパクトで軽量な車体、前型から流用の改造しやすいサスペンションなどは「腕を磨く素材」としては申し分なしだが、現在はレビンとトレノの人気格差は大きく、トレノが圧勝。中古車市場では驚きの1000万円超で取引されているものもある。
同じハチロクながら現在の処遇の違いを生むことになった理由は、前述の拓海やおっさん憧れのドリキンの愛車がトレノだったことは間違いない。
しかし、もうひとつの理由は、ヘッドライトにあるのではないだろうか。トヨタ・2000GTやマツダ・サバンナRX-7(SA22C)にも採用されたリトラクタブルヘッドライトを持つトレノは、同様のシステムを持つ「デコチャリ」と呼ばれたスポーツサイクル(スーパーカー自転車)に憧れを抱きつつ少年時代を過ごしたおっさんの琴線に触れないわけがないのだ!
マツダが誇る不出世のコーナリングマシン RX-7(FC3S、FD3S)
ロータリーエンジン示す「R」に、未来を象徴する記号「X」を冠し、マツダ社内の車格番号を意味する数字7を持つRX-7は通称「セブン」と呼ばれている。残念ながらその血統は途絶えてしまったRX-7。なかでもFC3SとFD3Sはおっさんを感涙させたスーパーマシンの代表格。そして、その人気を後押ししたのはAE86レビン同様、頭文字Dであることは間違いない。
先代RX-7(SA22C)の後を継いだFC3Sは、「頭文字D」では赤城レッドサンズの高橋涼介が駆ったマシンとして知られる。作中では、キャッチコピーの「4WS感覚」が示すように、軽量でコンパクトなロータリーエンジンと理想的な前後の重量配分、そして理知的な涼介の正確無比なコーナリングによってコーナーを芸術的なラインで駆ける姿が描かれている。
もういっぽうのFD3Sを操るのは涼介の弟である啓介。流麗な美しいボディの心臓部はシーケンシャルツインターボの13B型エンジン。こちらも兄よりちと粗削りながらも、華麗なコーナリングを決め、挑戦者たちをなぎ倒していく。
とにかく頭文字Dに登場する2台はめちゃかっこいい! 頭文字Dに夢中になったおっさんのなかには、AE86よりRX-7が欲しいと思ってしまった人も多いのでは?
RX-7の魅力は、唯一無二のロータリーエンジンを搭載している点、街乗り装備を持ちつつ超軽量に仕上げられたFRである点など、数多くあるが、このクルマの最大の魅力は……ひと目見ただけでハッと息をのむ、唯一無二の美しきスタイリングだろう。
その美しき佇まいはイイオンナの代表格、映画「マレーナ」のモニカ・ベルッチのよう。作中ではマレーナに見とれる多くのおっさんが描かれているが、「イイオンナほど、若いヤツよりも渋く年輪を重ねたおっさんが好みなのだ」という妄想をもとに、「もしかしたら今乗ったらモテんじゃね?」と私のような勘違いおっさんが思わず見惚れ、手を出したくなる感涙のモデルなのである。
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