■420Nmを受け止めるサスペンションのセッティングはハード目
しかし、いくらタイヤの性能を上げ、それを使い切るホイール構造が使われているとはいえ、400Nm超ものトルクを2輪駆動だけでコントロールするのには無理がある。ましてやTypeRはFF。FFは駆動にプラスして操舵も行うのだ。
タイプRのフロントサスペンションはストラット式。転舵軸と入力軸の2軸を持つデュアルアクシス・ストラットサスペンションで、ホンダが以前から採用しているタイプだ。キャンバー剛性も高めていて、深い操舵角までフロントのグリップをアップさせている。
サスペンションは全体的にハードで、特にリア回りは高速コーナーのターンインでもリアの安定感を確保する最大のセットアップがなされているといえる。
FFの場合、フロントタイヤには正(加速)にも負(ブレーキング)にも、さらに転舵時にもストレスがかかるのでタイヤグリップをドライバーがコントロールできる。しかし、リアタイヤは負(ブレーキング)の方向にしかなく、またタイヤへのスリップアングルは車体が旋回し始めて発生するので、フロントに対して遅れがちになる。
このため早くリアタイヤにグリップを発生させる必要があり、サスペンションのセッティングはハード目となる。サーキットのような路面が比較的滑らかなサーフェスでは遺憾なく性能を発揮するが、アンギュレーションが多様で強い一般道のような路面では100%性能を生かし切れるとはいえず、さらに乗り心地も減衰力可変ダンパーを採用しているとはいえ、ある程度犠牲にしなくてはならない。
■2Lターボ車の最適解はどのモデル?
ライバルの輸入車2車が4WDを採用している理由がそこにあると思えるのだ。限界性能の追求よりも実用域でのロードホールディングを目指すと、この300ps/400Nm超えのパワーに対しては4WDが必要であると結論付けているのだろう。
特にこの3車はFF車をベースとしているからエンジンとトランスミッションは横置きで、フロント荷重は大きい。それに対して軽いリア(タイヤ)に正にも負にも駆動を与えコントロール性を上げる。また、リアデフに左右の駆動力をコントロールする機能を採用して、コーナリング中のベクタリング機能によってより曲がりやすくする。
タイプRの場合、ベクタリング機能はアジャイルハンドリングと呼ばれる各輪に個別に制動をかけるブレーキベクタリングだ。ブレーキベクタリングはポルシェなどもEBD(エレクトリック・ブレーキ・ディファレンシャル)として古くから使われてきた技術。もちろんタイプRはFFゆえに培われた細かい制御技術が導入されている。
つまり、これらのことから一般道でのパフォーマンスに向いているのはやはり4WDのゴルフRであり、その究極はメルセデスAMG A45 S 4MTIC+といえる。
ただ、コストパフォーマンスという見地からタイプRの500万円切りはバーゲンプライスと言え、輸入2車の購入よりも余った予算でホンダアクセス製(モデューロ)の実行空力デバイスのリアウイングを導入するなど楽しみは多い。
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