「寒いし面倒だからいいか」は大惨事を招く!! セルフスタンドで静電気除去パッドに触れずに給油は絶対NGな理由

静電気除電パッドは、静電気をアースに流す役目

 静電気の放電による火花を飛ばないようにするには、帯電した人の体の一部を、膨大な容量を持った電気的に安定したアース(地球)に接続して、一瞬のうちに静電気を逃がせばよく、その役目を果たすのが、静電気パッドです。ドライバーがクルマを運転中に帯電したとしても、ガソリンスタンドで給油の前に、静電気除電パッドに手をタッチすれば、アースに静電気を逃がすことができます。

 黒いゴムでできた静電気除電パッドは、内部に炭素系の粒子が練り込まれ、適度な導電性を持たせています。これにより、人体に帯電した静電気を人間が感じないような電流でアースに逃がすことができます。ちなみに、フルサービスのガソリンスタンドの従業員は、電線を織り込むなど静電気をアースに逃がす静電気帯電防止作業服や作業靴を着用しているため、帯電し難く、静電気による放電もしません。

 静電気除去パッドに触れる以外にも、クルマから降りたときに地面に手をつく、アースの取れた金属に触るなどすれば、静電気を体から逃がすことができます。

黒いゴムでできた静電気除電パッド。内部に炭素系の粒子が練り込まれ、適度な導電性を持たせて、人体に帯電した静電気を人間が感じないような電流でアースに逃がす(PHOTO:写真AC_ Art_tetsu)
黒いゴムでできた静電気除電パッド。内部に炭素系の粒子が練り込まれ、適度な導電性を持たせて、人体に帯電した静電気を人間が感じないような電流でアースに逃がす(PHOTO:写真AC_ Art_tetsu)

環境問題の観点からもガソリン蒸発ガスの漏れ防止対策が

 2000年以降は、消防庁が静電対策を指示したこともあり、給油ノズルの改良や静電気除電パッドの普及が進み、火災事故は減少しています。

 最近は、大気汚染の観点から、排気管から放出される排ガス中のHC成分だけでなく、クルマ全体から放出されるガソリン蒸発ガス(HC)を抑える「エバポ(燃料蒸発ガス)規制」が強化されています。対象となるのは、樹脂やゴムで構成される燃料タンクや燃料ホース表面からリークするガソリンの蒸発ガス(HC)、給油時の給油口から放出されるガソリン蒸発ガス(HC)です。

 ガソリンの蒸発ガスであるHCは、太陽からの紫外線によって、NOx(窒素酸化物)と反応して、光化学スモッグの原因となり、人の目や呼吸器系に影響して健康被害を引き起こしてしまいます。そのため、火災防止とは別に、エバポ規制対応のため、給油時のガソリン蒸発ガスを抑える様々な対策が進められているのです。ガソリン蒸発ガスを抑制するために、給油インレットパイプ形状の最適化や蒸発ガスを吸引しながら給油できる2重構造の給油ノズルなどが、すでに採用されています。

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 静電気を抑える静電気除去パッドの利用と、ガソリン蒸気を外に漏らさない給油インレットパイプ形状や給油ノズルの最適化などで、給油時の火災事故発生の可能性は低下していると思われます。とはいうものの、条件が揃えば発火する可能性はゼロではないので、給油前には確実に静電除電パッドにタッチすることが大切です。

【画像ギャラリー】ガソリンスタンドの静電気除去パッドの効果と、触れずに給油する危険性(7枚)画像ギャラリー

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