■4代目で新開発ディーゼルが大ヒット
が、50代以上の人がカペラとして強い印象を抱き、メカニズムやデザインについても記憶にとどめているのは、1987年5月に登場した4代目のGD系カペラだろう。エクステリアは好評を博した3代目を正常進化させたデザインだ。
が、メカニズムには見るべきところが多い。クーペは「C2」を名乗り、5ドアハッチバックは「CG」と名付けられた。C2は「コンポジット・クーペ」、CGは「シティ・ギア」を意味している。
エンジンは1.6Lから2.0Lの直列4気筒SOHCとDOHCだが、注目したいのは2.0Lエンジンだ。FE型はDOHC4バルブで、これに可変吸気気候を組み合わせた。
そしてそれ以上に注目を集めたのがディーゼルである。マツダではプレッシャー・ウェーブ・スーパーチャージャー(PWS)と名付けたコンプレックス・スーパーチャージャー採用のRF型エンジンを設定していた。これは量産のディーゼルエンジンとしては世界初のメカニズムだ。
排気量は1998ccで、最高出力82ps/4000rpm、最大トルク18.5kg-m/2000rpmを発生した。アイドリング直後からレスポンス鋭くパワーとトルクが立ち上がり、加速は力強い。
サスペンションは、前後ともストラットだ。駆動方式はFFだが、世界初の車速感応型4WS(4輪操舵システム)を設定した。走りの実力である。とくに1988年6月に限定300台で発売したC2アンフィニはシャシーに手を加え、フロントのサブフレーム後端にはクロスメンバーを追加した。
リアにはパフォーマンスロッドを装備し、ストラットタワーバーも装着する。サスペンションも専用セッティングだ。FE型DOHCエンジンも圧縮比を高め、パワーアップを図った。
PWSディーゼルはセダンに積まれてデビューしたが、その存在が多くの人に知られるようになったのは、10カ月遅れて投入されたカペラカーゴに搭載されてからである。
カーゴは2段ルーフを採用し、5人乗りに加え、後ろ向きに座るベンチシートを備えた7人乗り仕様も設定した。レガシィのデビューより早く、ワゴンブームの火付け役となっている。大きく開くリアゲートを装備し、クラス最大級のラゲッジスペースを誇った。
■車名のとおり「マツダの一番星」だったカペラ
1990年秋、カーゴの5人乗りにセンターデフ&ビスカスLSD式フルタイム4WDのGTを加えている。パワフルなDOHCエンジンを積み、モール類やバケットシートなどはGTだけの専用品だ。
また、1991年にはアウトドアテイストを加味した特別限定車のアーバンブレイクを送り出し、これは評判がよかったのでカタログモデルに昇格した。カペラのセダンが1991年秋に「クロノス」に変わって消滅した後もカーゴは売れ続けた。
レガシィ・ツーリングワゴンとワゴンブームを牽引したカペラカーゴは、1994年10月にモデルチェンジ並みのビッグチェンジを敢行し、この先は「カペラワゴン」を名乗った。
2トーンのボディカラーを採用し、バンパーまわりのデザインもRVテイストを強く打ち出している。主役は「フィールドクルーザー」だが、フロントマスクにガードバー的なデザイン処理を施した「クルージング」も人気者になった。8年目に突入したのに販売台数を増やすほど、ブレイクしたのである。
アテンザが躍進することによってカペラを知る人は減ってきた。が、バブル期にマツダのイメージアップに大きく貢献し、バブルが弾けた後もワゴンブームを支えてきたのがカペラだ。卓越したメカニズムと走りのよさでファンを増やし、マツダの屋台骨を支えてきたのがカペラである。
セダンも、クロノスの不調によって5代目がリリーフで登場し、6代目ではワゴンも新型に生まれ変わった。そのネーミングのように、ミドルクラスのスターとして輝き続けたのがカペラ(カペラとはぎょしゃ座でもっとも明るい星の名前)なのだ。
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