新時代の幕開けは優れた空力性能とともに 「初代プリウス」
世界初の量産ハイブリッドカーのプリウスは1997年に登場した。この時の燃費性能は28km/L(10・15モード)で、これは当時の標準的なガソリンエンジン車の約2倍という驚異的なものだった。
このような燃費性能の多くは効率の良いハイブリッドシステムによるところが大きかったが、その他にも従来の油圧式に比べて燃料を節約できる電動パワーステアリングや、転がり抵抗の少ないタイヤ+軽量アルミホイールなども燃費性能向上にひと役買っていた。
もちろん高い空力性能もプリウスのウリになっていた。初代プリウスのCd値は0.30。全高は高めの設定だったものの、ボディ形状に工夫をこらし、加えて床下のフラット化などによって低Cd値を実現した。
初代プリウスは商業的にも成功を収め、以降は25年に渡る歴史を重ねていくことになる。
大幅な燃費性能向上のカギはボディにあった? 「2代目プリウス」
2代目プリウスが登場したのが2003年。前作の成功にあぐらをかかず、2代目はその姿を大きく変えてきた。
4ドアセミノッチバックセダンだった初代に対して2代目は5ドアハッチバックスタイルを採用。ホイールベースは150mm延長となり、ボディ全長は135mm、全幅は30mm拡大された。
ひと回り大きくなったプリウスのボディスタイルには「トライアングルモノフォルム」の名称が与えられた。車体を横から見るとキャビンを頂点に3角形を形成するフォルムは当時としては斬新なもので、空力性能と居住性を高いレベルで両立させていた。
そんな2代目プリウスのCd値は0.26。空力性能面においても初代を大きく上回ることがこの数値からもわかる。このトライアングルモノフォルムがプリウスの象徴となり、現在に至るまで同車のイメージをかたち作っている。
2代目プリウスの燃費性能は10・15モードで35km/Lと、ここでも初代からの大幅な進化を見せている。
さらにCd値を削って効率アップ 「3代目プリウス」
2009年、2代目の正常進化版といった装いで3代目プリウスがデビューした。
ボディは先代のトライアングルフォルムを継承し、各部のブラッシュアップによってさらに空力性能を向上。Cd値は0.25と、わずかながらも2代目よりも少ない数値を達成した。
3代目のアピールポイントは「エアマネジメント」。デザインのテーマを「エアアイコン」に据えて、シルエットは先代をイメージさせるものの、ルーフピークの位置を後方に移動するとともに、フロントピラーを前に出すなどの変更が施されている。空力性能の向上と同時にバッテリーの小型化も成し遂げ、Cd値を下げながらも室内空間は従来型以上に余裕のあるものとなった。
空力、そして動力系の効率向上もあって燃費性能はさらにアップし、3代目の10・15モード燃費は38km/Lと、当時世界トップクラスの数値をマークした。
3代目プリウスが2代目のシルエットを継承したことにより、クルマ好きだけでなく、世間一般にもプリウスのイメージが浸透していくことになった。
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