S208/2017年発売
現行のWRX STIをベースに誕生した「S208」は、トータル性能の高いコンプリートカーである。SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)ではないが、プラットフォームは剛性が高く、サスペンションの動きもいいから走りは気持ちいい。ハンドリング精度の高さ、意のままの走りはSシリーズの中で最高レベルにある。ボディもサスペンションもよく仕上がっているから乗り手の技量に応じて運転を楽しむことが可能だ。
懐が深く、快適性も高いから持てる実力を引き出しやすい。他のS200シリーズと違ってスパルタンすぎないのが魅力だ。ビギナーにも運転しやすいし、足の動きがよく、快適だからロングドライブも無理なくこなす。
とはいえ、意のままの気持ちいい走りは健在である。クイックなステアリングギアによって意のままの走りを楽しむことが可能だ。ホディは大きくなっているが、それを意識させない軽やかな身のこなしである。フロントにブレンボの6ポットブレーキをおごっているから、止まる性能も文句なしだ。
パワフルなEJ20型DOHCターボは相変わらず刺激的だ。7000回転を超えてもパンチがあり、よどみなく回る。高回転の気持ちよさは格別で、痛快な加速を満喫できる。
気になるのは車重が1785kgもあることだ。2代目をベースにした軽快感、ヒラリとした動きはは望めないが、安心感がある。乗り心地もよくなっているからパッセンジャーも文句を言わないだろう。荒れた路面を駆け抜けても凹凸を上手に受け流す。
レガシィ S402/2008年発売
STIのSシリーズは、インプレッサをベースにしたものが多い。が、例外がある。それがレガシィをベースに開発された「S401」と「S402」だ。
なかでも大人のコンプリートカーと言えるのが、熟成の域に達した最終型のBL/BP型レガシィにファインチューニングを施したS402である。2008年にデビューし、アッと言う間に完売となった。
弱点を洗い流した最終型に手を入れているから、完成度は驚くほど高い。しかもセダンのB4だけでなく、マルチに使えるツーリングワゴンのS402も用意されている。これがいいところだ。
究極のグランドツーリングカーを目指して開発され、402台が限定発売されたS402は排気量2.5LのEJ25型水平対向4気筒DOHCターボエンジンを積む。これに6速MTを組み合わせた。
エクステリアの変更は控えめで、“羊の皮を被った狼”だった。グリルはわずかにデザインが変わり、左右のフェンダーも20mmずつ広げられている。ドライカーボン製のフロントアンダースポイラーとトランクスポイラーも通好みだ。BBS製のアルミホイールも大人っぽい感覚でいい。本革シートや本革のドアトリムなど、内装も上質ムードだ。
専用のツインスクロールターボと専用のECU、専用の吸排気システムを採用し、最高出力と最大トルクも引き上げられている。高回転の伸びとパンチ力はEJ20型ターボに及ばないが、500ccの排気量アップの効果で実用域のトルクは豊かだし、クルージング時は静粛性も高い。気持ちよく加速し、剛性感たっぷりの6速MTも子機もよくつながる。飛ばすだけでなく優雅な走りも似合う。
シャシーのしっかり感やサスペンションの動きもよくなっている。ダンパーは名門ビルシュタイン製で、スプリングも専用品だ。リアサスリンクもピロボールブッシュにグレードアップした。狙ったラインにスッと入り、コントロールできる領域も驚くほど広い。限界を超えたときのリカバリーはしやすく、フロント6ポットのベンチレーテッドディスクブレーキも絶妙な効き加減だ。
5代目レガシィの登場が間近に迫っていたが、出た後でもまったく色褪せなかっただけでなく、逆に輝いて見えた。後世に残る名車である。
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