■光岡だからできた! 創業から現在までの代表モデルをプレイバック!
(TEXT/永田恵一)
1968年に、富山県の馬小屋からスタートして50年、これまでミツオカの“仕事”で生み出された個性的なクルマは数知れず。
現在では電動トライク「Like-T3」や、自動車メーカーとしては唯一製造・販売を手がける霊柩車まで幅広く揃えるミツオカだが、今回はそんなクルマたちのなかから、代表的なマイクロカーと乗用車をピックアップして紹介したいと思う。今でも色褪せない魅力を持ったクルマたちのオンパレードに、ミツオカの凄さが感じられる。
■BUBU501(1982年)
光岡は当時「ゼロハンカー」と呼ばれた、原付か自動二輪免許で運転できた50㏄スクーターのエンジンを積むミニカーで自動車作りに参入。BUBU501は光岡としては初めてのオリジナルカーで、三輪の1人乗りとなる。
■BUBU502(1983年)
光岡オリジナルのゼロハンカー第二弾。 タイヤの配置はBUBU 501の前二本、後一本から前一本、後二本に変わり、真四角なスタイルだったため1人が乗った状態でもかなりの荷物が積め、配達用などにも重宝されていた。
■BUBU505(1984年)
BUBU505はパワートレーンこそそれまでの光岡ゼロハンカーと共通ながら、クラシックカーをイメージしたスペシャリティなコンセプトを持つ。
なおゼロハンカーは法改正で自動車免許が必要になり、光岡も手を引いた。
■BUBU Classic SSK(1987年)
1.6Lフラット4を積むVWの空冷ビートルをベースにした、1920年代のベンツSSKのレプリカ。ベンツSSKはアニメ『ルパン三世』でルパンが乗っていたクルマということもあり、BUBU Classic SSKもいまだに人気で高値で取引されている。
■ラ・セード(初代1990年、2代目2000年)
「第二の人生で夢を追い求めるためのパートナー」というコンセプトを持つモデルで、初代モデルは1.8L NAのS13、2代目モデルは2L NAのそれぞれATのシルビアをベースに使う。 運転にはいろいろな意味で慣れが必要だった。
■美遊人〈ビュート〉(1993年から)
歴代マーチをベースにジャガーマーク2をモチーフとしたボディを持つ。現行モデルで3代目となり、光岡にとっては我流と並ぶ主力車種だ。 ハッチバックのマーチを4ドアセダン化したボディの仕上がりも実に見事だ。
■ZERO1(1994年)
バーキンセブンを参考に、初代ロードスターのパワートレーンを使った現在のケーターハムセブンをイメージしたピュアスポーツカー。 1.6Lと1.8Lがあり、1.8Lモデルは型式を持つ、光岡にとって記念すべき独自のモデルとなった。
■我流〈ガリュー〉(1996年から)
歴代ロールスロイスをイメージしたスタイルを持つ、光岡のメインとなるモデル。現行モデルで5代目となり、途中カローラアクシオをベースにした我流2-04やクラシック、霊柩車の「おくりぐるま」などもラインナップされた。
■マイクロカー(1998年から2007年)
光岡の原点となったBUBUシリーズのリバイバル版。BUBUシリーズ同様に50ccスクーターのパワートレーンを使い、豊富なボディバリエーションが用意された。またユーザーが組み立てるキットカー仕様も注目された。
■凌駕〈リョーガ〉(初代1998年、2代目2001年)
クラシックカーをイメージさせるスタイルを持つ5ナンバーサイズのセダン。初代は2代目プリメーラ、2代目は9代目サニーをベースにしており、特に2代目はデザイン、インテリアともにスペシャルな雰囲気を増した。
■麗〈レイ〉(初代1996年、2代目1999年、3代目2002年)
レトロなスタイルを持つ軽自動車で、初代と2代目はキャロル、3代目はミラジーノをベースに使う。初代には全長を若干伸ばした小型車仕様も設定され、インテリアも木目パーツを使うなどのモディファイを受けていた。
■大蛇〈オロチ〉(2006年)
「ファッションスーパーカー」というコンセプトを持ち、三度の東京モーターショーへの出展を経て市販化。 パワートレーンなどは大手自動車メーカー製だが、ボディはもちろん、フレームなども光岡オリジナルとこだわりのモデルだ。
■流儀〈リューギ〉2014年
カローラアクシオベースの我流の後継車的なモデルで、エクステリアはロールスロイスシルバークラウドをモチーフにしている。 現行カローラベースなだけに、1.5Lハイブリッドがあることでも間口は広い。ワゴンモデルもある。
■卑弥呼〈ヒミコ〉(初代2008年、2代目2018年〉
ラ・セードに通じる雰囲気を持つオープンカー。ベースは初代が先代、2代目が現行の、それぞれロードスターで、女性をターゲットにした面もあるという。初代モデルは英国で「ロードスター」の車名を使い販売されていた。
■50年の集大成、そして未来へのあり方も示した200台限定車「ロックスター」
(TEXT/編集部)
光岡自動車は2018年11月29日に、創業50周年を記念した200台限定のオープンスポーツ『ロックスター』を発表した。10月の初めに事前にエンドユーザーに伝えた情報が、一部メディアに漏れてしまうということもあったが、ついに正式発表となった。
このクルマで注目すべきは、やはりそのスタイリングだろう。
発表会に登壇した光岡自動車の渡辺稔執行役員が、「計画当初は私の若かりし頃に、カリフォルニア州(アメリカ)で見て心に焼き付いていた『フォルクスワーゲン カルマンギア』や『ポルシェ914』といったクルマのイメージを、マツダ ロードスター(ND型)をベースにして、デザインを担当している企画開発課の青木孝憲課長に描いてもらうことだった」そうだが、できあがったデザインを見ても刺激を感じられず満足できなかったという。
そこで、再度熟考した末に青木氏が生み出したのが、『ロックスター』のベースとなったデザイン『タイプ・カリフォルニア』だったのだ。渡辺氏が、見た瞬間に雷に打たれたような興奮を憶えたというデザインは、アメリカ車の面影を色濃く反映したものとなっていた。
ゴーサインをもらった青木氏は、これをオロチのクレイモデルやマネジメントをともに担当したメンバーと具現化。そして、オールディーズ・ロックのライブで盛り上がる観客を見て、年齢や立場を問わずキラキラ輝くロックな(自由や解放を求める)気持ちを持つオーディエンスこそがロックスターだと感じ、このクルマを『Rock Star(ロックスター)』と名付けることを決めたという。
ロックスターは、『卑弥呼(ヒミコ)』と同じくマツダ ロードスター(ND型)をベースに、シボレー コルベット(C2)風の外観をまとった一台となっている。そのコンセプトは「やんちゃ×スタイリッシュ×楽しさ」で、これまでの光岡デザインの方向性であった、欧州クラシックカーのテイストから一線を画すものとなっている。
車両サイズはロードスターよりも長い全長4345mm(ロードスターは3915mm)で、全幅も1735mmに対して1770mmと拡大。パワートレーンは、ロードスターと同じ1.5L直4DOHCエンジン「SKYACTIVE-G 1.5」(132ps/15.5kgm)を搭載する。
ベースのロードスター S(6速MT)と、ロードスターS スペシャル・パッケージ(6速MT/6速AT)に合わせ、ロックスターもS(6速MT:469万8000円)とSスペシャル・パッケージ(6速MT:498万4200万円/6速AT:518万4000円)の2グレード3タイプの車種を用意。
ボディカラーは6色(ロサンゼルスブルー、シカゴレッド、ニューヨークブラック、シスコオレンジ、ワシントンホワイト、アリゾナイエロー)で、ソフトトップの標準はブラックだが、ほかに4色(オフホワイト、ダークレッド、タン、レッド)も用意。さらにAピラーとドアミラーカバーもボディ同色の6色と、クラシックホワイトの7色のオプションを用意している。
先行予約の枠50台はすでに完売しており、2019年はこのオーダー分を生産することに専念。12月1日から予約注文を受け付けている残り150台に関しては、2020年に75台、2021年に75台を生産・納車する予定となっている(編集部註:1月31日時点で販売店に確認したところ、200台全てが完売したのことでした。手に入れられないのは残念だが、めでたい!)。
先行予約分ではMT車が26台、AT車が24台とほぼ同等。購入者の年齢は50〜60歳代で、人気色はロサンゼルスブルー。もう少し若い層には、ニューヨークブラックが人気だそうだ。
〈ロックスター(Sスペシャルパッケージ)諸元表〉
全長×全幅×全高:4345mm×1770mm×1235mm
ホイールベース:2310mm
車両重量:1100kg
エンジン:直4DOHC
排気量:1496cc
最高出力:132ps/7000rpm
最大トルク:15.5kgm/4500rpm
ミッション:6MT
価格:498万4200円(S 6MT:469万8000円、Sスペシャルパッケージ 6AT:518万4000円)
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