料金所前のトラック列は解消するか!? 見直しが決まった高速道路の深夜割引をトラックドライバー向けに解説します!

駐車枠を増やさないと状況は改善しない?

 そもそも深夜割引は割引料金によって混雑を緩和し、周辺道路の環境を改善することを目的としていたが、2014年4月より前の「50%割引」の時代は、時間調整のトラックが本線上にまで停車している姿がよく見られた。

 当時は適用時間帯の一部でも高速道路上にいれば5割引きが適用されるので、長距離トラックとしては利用しない手はなく、「高速道路上にダムを作ってトラックをせき止めているようなもの」という批判もあった。

 その後、割引率30%への引き下げで多少改善したものの、東京料金所付近のトラック滞留などがクローズアップされるようになった。今回の「走行分のみ30%引き」への変更は必然だったといえる。

 とはいえ、高速道路のSA・PAや料金所付近、周辺道路などがトラックで溢れているのは深夜割引だけが原因ではない。

 割引待ちのトラックの滞留や、それを原因とする労働環境の悪化が懸念される中、当のトラックドライバーたちは大型車の駐車スペースが全く足りていない状況を何とかしなければ状況は改善しないと考えているようだ。

 実際にトラックマガジン「フルロード」に寄せられたドライバーの意見としても、大型車の駐車枠不足を指摘する声が多い。

「高速道路の深夜割引を待つためにPA等が満車になるとよく言われますが、法律で決まっている『430休憩』や『8時間の休息』のほうが直接的な原因になっていると思います。より広い駐車スペースを確保するしかないと思います」(九州・長距離トラック)

「ドライバーとしては、料金・時間など気にせず通過できればいいですが、会社は割引料金を前提とした運行をしているので、そうもいきません。割引待ちのトラックを見て『ドライバーのマナーが悪い」で片づけられてしまいますが、現状、解決策がない問題です」(関東・大型トラック)

「深夜割引などのプライシングで混雑を緩和するのは悪くない手法に思えますが、その深夜割引によってトラックの駐車場不足が引き起こされているのは皮肉なことです。大型車休憩スペースの確保に鑑みると、深夜割引は必ず足枷になると思います」(関東・大型トレーラ)


 制度設計上の問題を抱えながら、トラックドライバーの努力によって世界トップクラスと評される精確な物流を実現しているのが日本の現状だ。制度を見直すなら、その努力が報われるものにして欲しい。

 高速道路以外で大型車の駐車が可能な施設として、トラック協会が運営するトラックステーションがあるが圧倒的に数が足りず、他には道の駅やコンビニの駐車場があるくらい。工業団地や荷主の施設は、ジャスト・イン・タイムを求めるいっぽうで、夜間には入れない所も多い。

 深夜割引の見直しがトラックドライバーの労働環境や物流の諸問題を解決するとは思わないが、それを一つの契機として、一般道でのトラック駐車場や物流施設の待機場整備、荷主企業の理解などを進めないと、持続可能な物流を確保することが難しくなってきている。

【画像ギャラリー】午前零時の東名東京料金所(6枚)画像ギャラリー

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