■「武闘派」WRX S4。トヨタどころか世界中探してもない!
(TEXT/国沢光宏)
このクルマの評価をさせたら、自動車評論家のなかで最も妥当だという自信あります。なんてったってオーナーだし、WRX S4で国際ラリーにまで出てますから。
そもそもWRX S4を選んだのは、こういったクルマがほかになかったから。アウディにもあるでしょ、という突っ込み入るかもしれないけれど、じゃアウディS4をラリー車に仕立ててグラベル路面を全開で走れるか、といえば難しい。
よく「CVTがあかん!」という声も出る。確かに課題あるけれど、メリットだって大きい。考えていただきたい。サーキットならコーナーの数は多くて15。加えて何度も走っていれば、そのコーナーに合うギアを決められる。6速とか7速あれば充分かと。しかしラリーの場合、ツールド・コルスで6600くらいコーナーあるのだった。ギアなんか合わせられないです。
CVTならアクセル踏めば常時最適のギアレシオを選んでくれる。実際、立ち上がり加速という点じゃラリーやっていて「すげぇな!」と思う。
ノーマルで全開走行するとCVTの油温が上がるなど課題も出てくるものの、一般道を走るかぎり問題なし。WRX S4のような「武闘派」のスポーツセダンはトヨタに存在しないばかりか、世界中探してもないです。
■オープンスポーツはトヨタにはない。“走る宝石”マツダロードスター
(TEXT/清水草一)
マツダロードスターの傑作ぶり、世界の自動車シーンにおける存在感は格別。実に国宝レベルである!
確かに86もスバラシイ。こういうモータースポーツのベースとして格好の小型FRは、世界広しといえども86/BRZくらい。トヨタはスバルと組んで実に素晴らしいものを作ってくれたが、しかしロードスターが放つ光彩の前にはやや霞む。
ロードスターには、86にはないエレガンスやエロスがある。そしてなにより、30年の歴史と世界的名声がある。
思えば、国産登録車のオープンスポーツは今やロードスターだけ。オープンカーというのは基本的にエレガンスがなければ成立しないものなので、数あった国産オープンはそのほとんどが消滅せざるを得なかった。一代かぎりなら作れても、30年も継続するのは本当に偉大なことなのだ。
しかもロードスターには、RFも用意されている。どうしても幌はダメという人にも、選択肢が残されている。
こんなにコンパクトで楽しくて、しかも世界一級の美しいデザインを持つオープンスポーツ、マツダロードスターは、大トヨタといえども、逆立ちしても手に入らない宝石だといえるだろう。
■トヨタ車に足りないものがあるとすればそれは“尖った個性”だ
(TEXT/編集部)
盤石ともとれるフルラインナップを誇るトヨタ。一見すると死角などなさそうに見えるが、しかし、モデルで見ればスーパースポーツやコンパクトカーなどの分野で、いまひとつユーザーの期待に応えられていない部分もあるといえそうだ。
裏を返せば、トヨタ以外の日本メーカーには唯一無二の秀でる要素やモデルが多いということでもある。トヨタも決してうかうかはしていられない、ということだ。トヨタには“尖った個性”、これを色濃く打ち出してほしい。
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