■これほどまでにクルマを愛した経営トップはいない
章男氏が社長に就任してから、トヨタのクルマは大きく変わったと思う。顧客が求めるクルマと言うよりも、みんなが驚くクルマが増えた。そして、売り手が好きになれるクルマが、ラインナップにあふれるようになる。
筆者の入社当時は、自チャネルの取扱車に対し「このクルマが好き」と声に出す社員が少なかったように思う。社員のマイカーも、新しいからこれに乗っておけばいいという考え方が多かった。
しかし、ここ最近では「このトヨタ車に乗りたいからディーラーに勤めたい」という新入社員の声や、「新型の○○カッコいいよね、マイカー買い替えようかな」といった声が、ディーラー社員の中でも増えたように思う。
これはメーカーのトップが本心で乗りたいと思うクルマを、世の中に発表し続けた結果だろう。楽しいクルマに乗りたい章男氏だからこそ、実現されたデザインや走行性能は、数知れず。これが商品力を高め、販売現場の士気を上げることにもつながった。
商品は、売り手が自信をもって提供できなければ売れない。すなわち、売り手が好きにならなければ、大切なお客様に勧めようとは思わないのだ。クルマを愛し、モータースポーツを愛する豊田章男の一挙手一投足が、販売現場のトヨタ愛を高めるきっかけとなった。
■現場は佐藤社長へバトンタッチ! 今後は日本の自動車全体をさらに盛り上げてほしい
新社長となる佐藤恒治氏と豊田章男氏の共通点は「心に刺さる言葉」と「現場を見続ける目」だと思う。
レクサスディーラー大会などで、佐藤氏のプレゼンを直接聞く機会が多かった筆者。レクサスらしくスマートでありながらも、広い視野を持ちチームを大切にする姿勢は、これからのトヨタにマッチしていくだろう。
メーカーとディーラーの関係性も、今よりもっと良くなるのではないだろうか。トヨタの「現場」は、佐藤新社長に任せておけば安心だ。豊田章男新会長には、トヨタのみならず、日本の自動車、そして経済の底上げを期待したい。
クルマへの愛情がどこか足りなかったトヨタに、約14年かけて愛情を注ぎ、トヨタというメーカー・ディーラー全体に、愛することの大切さ、好きだからこそ生まれるパワーを伝え続けた豊田章男社長。その思いは、大きなカタチになったと思う。
今後は、自動車に関連する各団体が、「クルマ」という道具に、趣味に、社会の歯車に、もっと注目を集めるためには何が必要なのか、日本のユーザーがもう一度クルマを愛するために必要なことは何なのかを、章男会長の「クルマ愛」で答えに導き、必要であれば改革のメスを入れて欲しい。
豊田章男社長、トヨタは生まれ変わり、不可能を可能にする企業になったと思います。約14年に及ぶ大改革、ありがとうございました。これからは、トヨタという枠を超えて、クルマへの愛情を、広く世界へ伝えていってください。これからもモリゾーさんの笑顔を多方面で見られることを、楽しみにしております。
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