エアコンスイッチや音量調節ダイヤル、ナビ現在地表示スイッチ、ハザードスイッチ、ヘッドライト、スタートスイッチなど、クルマにはいくつものスイッチがついている。
最近では、ステアリングホイールのスポーク部分にスイッチを集約し、ステアリングホイールから手を離さずに、たいていの操作はできるようになった。他にもテスラのように、物理スイッチを極力排除し、液晶画面のタッチパネルであらゆる操作を行うクルマも登場している。
ただ、なかには、「これはちょっと使いにくいな」と感じるスイッチもある。自動車メーカーはどういったロジックで、スイッチをつくり分け、配置しているのだろうか。また、使いにくいと思われるスイッチが採用されてしまうのはなぜなのか。解説しよう。
文/吉川賢一、写真/ランチア、日産自動車、ホンダ、テスラ、ベストカーWeb編集部
■スイッチ配置は、デザイナーとエンジニアの連携がキモ
クルマのスイッチは、ダイヤル式やプッシュボタン式、タッチ式と複数のタイプがあり、メーカーや車種ごとに形状や位置がバラバラだ。これは、クルマごとにアイポイントやヒップポイントなどが異なるため、個々のクルマに合わせて、スイッチの位置を緻密に変更しているためだ。
コクピット周りのスイッチは、インテリアのコンセプトデザインを製作する前から検討が開始されている。
まずは最優先とされるステアリングホイールやシフトセレクター(ノブまたはスイッチ)、メーター、ナビゲーションモニター、センターコンソールの形状などの位置を決める。
次にスタートスイッチやハザードスイッチ、エアコンスイッチ、音量ボリューム、ドライブモード切替え、電動PKBスイッチなど、ドライバーが運転中によく使うスイッチの配置を検討する。その際に重要となるのが、ハンドリーチだ。
ハンドリーチとは、ショルダーポイント(肩関節)を中心にして、手の先が届く範囲のこと。ドライバーが正面を見て座った状態で届くことが必要となる。そのハンドリーチを確かめながら、インテリアデザイナーとスイッチレイアウトを設計するエンジニアが相談しながら、スイッチを配置していく。
この際、デザイナー側はスイッチの種類や機能を知っておかねばならないし、エンジニア側もデザイナーが求めるイメージを具現化する方策を持っていないとならない。
例えばセレナで採用した、プッシュスイッチ式のシフトボタンの場合、シートから背中を浮かせずに操作できるよう、インパネ中央がドライバー側へとせり出した形状となっている。
また少ない力でも押しやすいよう、スイッチの角度もCAEなどのシミュレーションで計算されている。こうした珍しい形状のスイッチは、まさに、デザイナーとエンジニアの連携が上手くいったことで、実現できている。
コメント
コメントの使い方フィットのエアコン操作パネルが、先代ではタッチパネルだったけど現行型では物理スイッチに戻したからな。
現行型のダイヤル式は本当に操作しやすいよ。
「デザインのトレンドだから」というメーカーの設計担当者の頭の悪さが垣間見える。