■予防安全技術は、じつはトヨタの普及率には“ムラ”がある
(TEXT/国沢光宏)
予防安全技術で最も大切なのは、絶対的な性能もさることながら、やはり普及率だと考える。現在トヨタが採用している予防安全技術を見ると、いまだにすべて同じレベルになっていない。例えばプリウス。マイナーチェンジしたモデルを見ると「歩行者対応自動ブレーキ。昼」と書いてある。なぜ昼と書いてあるかといえば、夜も歩行者を検知してブレーキかけるシステムが、トヨタ車のなかに存在しているからにほかならない。
現時点で日本最高性能の自動ブレーキシステムは、アルファードやクラウンが採用している夜間の歩行者まで検知可能な新世代の『セーフティセンス』なのだけれど、全モデル対応になるかと思ったら、そうじゃなかった。おそらく、さみだれ的に採用されていくんだと思う。
そんなトヨタと対照的なのがマツダで、フルモデルチェンジやマイナーチェンジだけでなく、年次改良モデルにまで最新の自動ブレーキシステムを採用していってます。
ということで、日本で最もレベルの高い予防安全技術はトヨタが構築しているものの、ほぼ同等レベルのシステムを全販売車に展開しているマツダのほうが、メーカー全体としては上だと考える。トヨタ、2位ですね。3位は性能こそマツダレベルながら、採用車種でトヨタを大きく下回る日産としておく。
参考までに書いておくと世界での最高レベルは、危険を検知したら自動ハンドルで避ける制御を積極的に採用し始めているボルボであります。
■スポーツエンジンは市販版とハイエンドモデルで顕著な違い
(TEXT/斎藤聡)
スポーツエンジンといってまず挙がるのは、GT-RのVR38DETT型3.8L V6ツインターボと、NSXのJNC型3.5L V6ツインターボだろう。パワーではGT-Rだが、NSX2019モデルを試乗して、あらためてエンジンのハイパワーでありながら素晴らしくフラットなトルク特性に感心した。技術というキーワードを入れるのであれば、1位=NSXのホンダ、2位がGT-Rの日産だ。
ほかにもシビックタイプRの2L直4ターボ、ロードスターの1.5L直4、同じくロードスターRFの2L直4、そしてスバルWRXの水平対向4気筒ターボ、BRZのFA20型もいいエンジンだ。
これに対してトヨタ(含むレクサス)はどうかというと、スープラはBMWだし、86のエンジンもスバル製(直噴技術でかなりエンジン開発にも関与しているから、半分くらいはトヨタ製といってもいいが)。レクサスにはRC FとGS Fに搭載される2UR-GSE型5L、V8があるが、アクセル操作に対する応答の繊細さはイマひとつ。
順位をつけるとすると、3位はマツダ。アクセル操作とエンジンのピックアップがみごとに一致するチューニングの巧みも加点要素。4位にスバル。5位がトヨタだ。
ただしこれは市販エンジンの評価。純粋に高性能エンジンの開発技術でいったら、世界のレースを沸かせた実績が示すとおり、ホンダ/トヨタは甲乙つけがたい同率1位だ。
■トランスミッション技術…ATについてはトヨタ、しかし総合的にはホンダ
(TEXT/斎藤聡)
トヨタはATに力を入れており、排気量によってCVT、スポーツモデルにMTといった使い分けをしており、DCTに関しては積極的でない。
実際、未来のトランスミッションともてはやされたDCTだったが、大トルク車ではクラッチ保護のためにクラッチ断続がすばやくできないことがあり、現在では必ずしもDCTだからすごいという空気はなくなっている。
それよりもロックアップポイントを低くし、いち早くダイレクト感のある多段ATを採用したレクサスIS Fの先見性は、今こそ評価されるべきものだろう。
現在ではレクサスLCやLSに10速ATを搭載するなど、ATに関しては一歩先を行っている感がある。
これに対する国産ライバルメーカーというと、やはりホンダだ。
ホンダは内製のトランスミッションの開発が盛んで、エンジンを生かすためのトランスミッションという思いが強いのだろう。NSXには9速DCTが採用されているし、北米ではアコードに10速ATが搭載されている。MTにおいてもシビックタイプRにレブシンクロMTが搭載されている。これもMTを乗りやすくする、ひとつの進化といえるものだ。
エンジンの性能を引き出すために最も効率がよいトランスミッションを開発し、搭載するというホンダの姿勢がうかがえる。
以上、トランスミッションに関しては、順位をつけるとするなら1位はホンダになると思う。トヨタは2位だ。
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