市販車でここまでやるか? 職人魂を貫きとおせ!! インプレッサ使いが証言するその凄さ

 シリーズでお届けしている「ランエボ&インプレッサ進化の歴史」。

 前回の記事では「エボ使い」中谷明彦氏の解説でランエボの開発の舞台裏をお届けしたが、今回はその絶対的なライバル「インプレッサ WRX STI」の開発秘話をお届けしよう。

 今回それを教えてくれるのは「チャンプ新井」こと新井敏弘選手。2018年は全日本ラリーでチャンピオンを獲得、かつてはWRCでも活躍するなどその偉業は数知れず。

 そんな新井選手と共に戦ってきたのがスバルのインプレッサ。もちろんランエボとのライバル対決もあるが、進化の道は少し異なったようだ。

文:新井敏弘/写真:ベストカー
ベストカー2019年2月26日号


■「ここまでやるか?」をやってのけるスバル魂

 インプレッサWRXの初代STiはかなりエンジンも攻めた仕様でした。当時個人的に乗っていたけど、あれは今思い出しても激しかった。

 そこからverIIのSTiになったら、その反動なのか凄くおとなしくなった記憶があります。そして、今回の話のスタートとなるverIIIですが、フロントマスクが変わって、アキレス腱だったミッションが強化されたのが競技をやっている人間には大きかった。

1996年登場のWRX STi Ver III。大幅に戦闘力がアップし”ガラスのミッション”が克服された。進化版のVerIVではタービンが小さくなり乗りやすい仕様に

「木のエンジン、ガラスのミッション」なんて揶揄されていたけれど、かなり進歩したと感じさせる内容でした。

 そこからverIVでは、ドッカンターボだったverIIIからタービンサイズが少し小さくなって乗りやすくなり、verVとVIは、フロントマスクが変わったくらい。

 試行錯誤しながら、どんどんクルマがよくなっていっていた時代でしたよね。次にやってきたのが、伊藤健さんが開発したGDB(丸目A型)。

 その頃からラリー専用車みたいなスペックCというグレードができて、鉄板も薄くて、さらにクロスメンバーを外して軽量化していたので、ラリー車を作った時に1230kgくらいでできたことがあって驚きましたよ。

1998年には伝説のコンプリートカー22Bも登場。WRCでスバルが栄華を極めし頃だ

 だから速かったんだけど、フロントのクロスメンバーがないので、グニャグニャしてしまっている印象はありましたね。

 それでもGC8と比べると、ジオメトリーも変更されていて安定感も凄くあったし、特にリアのストラットはストロークがあったので、よくトラクションもかかりました。

 涙目(C型)でもスペックCがありましたが、こちらは丸目の反省を踏まえてクロスメンバーが採用されていて、ハンドリングはもの凄くしっかりしていましたね。

 GDBが面白いのは、2Lターボモデルが最初にあって、そこから1.6Lや1.5Lといったパワーのない仕様を作ったので、ボディがもの凄く強いんですよ。

 ボディがしっかりしていて、全体的にバランスがよかったモデルですね。

■WRCで勝つことを求めて進化のスピードは上がる

 驚くほどガラリと変えてきたのは涙目(E型)。顔はそのままでPCDを100から114.3に変更し、ジオメトリーまでいじりました。

 実は以前からPCDが100だとナックルとかが弱いので、強い入力が入ると首を振りやすかったんです。

 だからラフなラリーだと、1日でハブ交換をしていた。それが114・3になったことで1ラリー保つようになったのはとても大きかったですね。

GDBは新世代のWRXとして強いボディも手に入れてきた。E型はPCDの変更などかなり大掛かりな仕様変更も実施するなどまさに勝ちにこだわった1台

 これはラリー、レース両方からの要望で変更されたんだと思います。

 涙目では、あとリアのクロスメンバーの固定がゴムブッシュからリジッドに変更されたので、クルマがダイレクトに動くようになったのがとてもよかったですね。

 時代といえば時代だけど、ここまでするか? ということも、惜しげもなくやってくれましたね。

ラリーのみならずレースでも鍛え上げられたインプレッサと名機EJ20。現在でもそのモータースポーツDNAは引き継がれ全日本ラリー、SUPER GTでも生き続ける

 ちょうどその頃は三菱のランエボとバチバチWRCでやり合っていて、WRCで勝たなきゃいけないというプレッシャーがあったからだと思いますが、ダメなところがどんどん直っていくし、開発のやりがいがありました。

 GDBは競技をベースにして鍛えられたクルマだったので、どのモデルをラリーで使ってもいい印象でした。

 競技直系でスパルタン、エンジンもパワーをしっかり出せるように改良されていたのは凄かったです。

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