2004年に登場以来、いまだに現役の現行型ハイエース(H200系)。海外市場はとっくにフルモデルチェンジしているが、日本はまだ……。にもかかわらずライバルのキャラバンに圧倒する販売台数を記録中。キャラバンのほうが比較的新しいのに、未だに商用車市場の王者でいられるワケって?
文:渡辺陽一郎/写真:ベストカーWeb編集部
■8割がハイエース!! 似ているのにキャラバンより大きくリード
日本の物流を支える大切な存在が、ワンボックスボディのキャブオーバーバンだ。1年間に約10万台が販売されているが、この内の約80%、つまり8万台前後をトヨタ ハイエースが占める。
キャブオーバーバンは車種の数が限られ、売れ行きの堅調な車種は、ハイエースと日産 キャラバンだけだ。それでもハイエースが圧倒的に多く、キャラバンは改良を加えて各種の装備やグレード構成を充実させながら、なかなかハイエースに追い付けないのだ。
■ボディが弱くてダメ!? 商用バンならではの理由が衝撃
なぜハイエースの一人勝ちが続くのか。この背景には複数の理由がある。まずは長年にわたる販売実績だ。ハイエースの高人気は、初代モデルを発売した1967年から続き、その信頼性が今もハイエースの根底に息付いている。
それなら何がキャラバンと違ったのか。今はキャラバンの商品力もハイエースにほとんど見劣りしないが、3代目のキャラバンや4代目のハイエースが販売されていた時代までは、明確な違いがあったのだ。
1980年代~90年代に掛けて、キャブオーバーバンをキャンピングカーに改造するショップからは「キャラバンはボディが弱くてダメ」という話が聞かれた。例えば4輪の内、1輪だけを歩道に乗り上げて駐車すると、キャラバンはボディが歪んでスライドドアの開閉が困難になってしまう。しかしハイエースなら、この不具合が発生しにくかった。
商用車では、不具合が生じると、仕事が即座に滞る。ユーザーは乗用車以上にトラブルを避けたい。そうなるとボディ剛性の低いキャラバンは選ばれにくく、ハイエースが絶対的な選択肢になったというワケ。
そしてこの認識は、時間が経過しても消ず、「商用バンはハイエースを買えば間違いない」という話が、職場や同業者の間で語り継がれるからだ。日産の関連企業が有力な取引先になるような場合を除くと、キャラバンを積極的には選ばない。そこが趣味で乗る乗用車と違うところだ。
コメント
コメントの使い方車中泊は出来るだけ広い方がいい。そして運転しやすくて広い車は四角くて小さい。その基準を満たし、なおかつ安心感と販売力があってハイエースという事なのでしょう。