実用性に優れるカローラツーリング、ロングドライブの友はレヴォーグ
燃費性能はカローラツーリングの圧勝だ。カローラツーリングのWLTCモード燃費は、1.5L直3ガソリン2WDが19.1km/L(X 2WD)、1.8L直4+モーターのハイブリッド車は29.5km/L(X HYBRID 2WD)、ハイブリッド4WDは27.8km/L(X HYBRID E-Four)という非常に高いレベル。対するレヴォーグは、1.8Lエンジン車は13.1km/L、2.4Lターボエンジン車は11.0km/L。2.4Lターボは本気のスポーツモデル「STIスポーツ」向けのため目をつぶるとしても、この令和時代にはそぐわない燃費性能だ。
また最小回転半径は、レヴォーグが5.5m、カローラツーリングは5.0m(15インチタイヤ)~5.3m(16、17インチタイヤ)。レヴォーグはDセグメントの最小回転半径としては、平均よりもやや大きめ程度なのだが、カローラツーリングの小回り性能が光る。日常使いでの実用性は、圧倒的にカローラツーリングのほうが高いといえるだろう。
また、ステーションワゴンを選ぶ大きな動機でもある荷室については、レヴォーグの荷室容量はVDA方式で492L(カーゴフロアボード上部。サブトランクを含むと561L)で、ハンズフリーパワーバックドアも備える。対するカローラツーリングはVDA方式で392Lと、レヴォーグよりも100L分(約2割)も小さい。カローラツーリングは、「ワゴン風のスタイルをデザイン買いするクルマ」と考えたほうがよいだろう。荷物を載せて旅に出かけるステーションワゴンとしての使い勝手は、レヴォーグが強い。
「走りの質感の高さ」のレヴォーグ、「馴染みやすさ」のカローラツーリング
またレヴォーグは、走りの質感の高さも魅力。ステアリングフィールが軽快でボディーモーションは小さく、余計な振動も少なく、ロードノイズも小さい。アイサイトXやフルデジタルメーターといった最新デバイスもいち早く搭載しており、メルセデスやBMWといった輸入Dセグメント車と、(燃費を除いて)対等に戦えるポテンシャルをもっている。
一方のカローラツーリングは、馴染みやすさが魅力。ハンドルやシフトノブといった操作系すべての配置が、長年、日本人が慣れ親しんできたレイアウトにまとめられているため、シートに座り、ステアリングホイールを握った瞬間から、自然とクルマに馴染む心地良さがある。これほど落ち着くのはカローラ以外にはない。
走りの素性も、TNGAによる基礎体力向上が功を奏し、フォルクスワーゲンやフレンチメーカーのCセグメント車と肩を並べるまで飛躍している。17インチ車はオーバースペックを感じるが、16インチ車の出来は相当に高い。2022年10月の一部改良で、地図表示もできるフルデジタルメーターも手に入れており、「(フルデジタルメーターをいち早く採用した)ゴルフに肉薄している」といっても過言ではないだろう。
安心感が高く落ち着きのある走りのレヴォーグ、燃費が良く軽快な走りのカローラツーリング、どちらも各々のセグメントでは非常に優秀だ。だが、クルマの質感や快適性は、より上級のセグメントを目標としているレヴォーグのほうが優勢といえる。
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