■ユーザーの声と販売店の様子から見える勝敗の要因
ハイエースを選ぶユーザーに話を聞くと、ハイエースを選ぶ理由が明確に出てくる。そこには、スペックや装備といった実体として見えるものよりも、「ハイエースが好き」「ハイエースだから乗っている」という、ハイエースに対する強い思いを感じるのだ。
ハイエースは商用バンでありながら、趣味のクルマとしても認知されている。こうしたユーザーは、同じようなクルマがあったとしても、ハイエース以外を選ぶことはないのである。
モデルライフが長いクルマになればなるほど、クルマに宿った魂のようなものがユーザーを動かすだろう。先日、テレビ番組で放映されたのも「ハイエース芸人」であり、これが「キャラバン芸人」では成立しない理由が、両者の明暗を分けている部分なのではないか。
さらにハイエースは、名前の強さに加えて、トヨタ自身の仕掛けが非常に上手い。
長距離を走ることの多いハイエースだからこそ、燃費性能にはこだわるし、燃料タンクもキャラバンの65Lよりも5L多い70Lだ。微々たる差ではあるが、ハイエースの方が航続可能距離は長くなり、燃料を入れる回数も少なく済む。
こうした差を、大々的に宣伝するのではなく、主要諸元表の中にひっそりと仕込ませるのが、いかにもトヨタらしく、ユーザーの心を揺さぶるだろう。ブランドづくりという面で、一枚上手と言わざるを得ない。
■長距離運転への支援が新型に求められるポイント
モデルライフが長く、新型の登場が待たれる両者。筆者としては、長距離移動の多いキャブオーバーバンだからこそ、運転支援システムの搭載を必須にしてもらいたい。
トヨタにはプロアクティブドライビングアシスト、日産ではプロパイロットといういい技術がある。新型には、こうしたドライビングアシストシステムを是非搭載して欲しいし、最低でもレーダークルーズコントロールぐらいは標準装備をしてほしい。
現行型では両者ともに衝突被害軽減ブレーキの搭載で止まっている状況。仮にハイエースより先に、キャラバンがプロパイロット2.0を搭載すれば、キャラバンに対するユーザーの見方も大きく変わり、先進性を売りにすることで、先述したステレオタイプも拭い去れる可能性があると思う。
まだしばらくはハイエース一強が続くと思うが、キャラバンがキャブオーバーバンの新しい形を提案し、自身の殻を破ったとき、新時代が始まるかもしれない。
【画像ギャラリー】商用車どちらが好き? 日産キャラバンとトヨタハイエースの内外装をチェックする!!(12枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方ハイエースとキャラバンとの決定的な違いは何かが解き明かされると期待して読みました。 結果は深掘りがされておらず、表面的で今迄他誌でも他の車評論家の方でも言い古された事項のみの記事で正直大変残念でした。 誌面の容量の面で制約があったのかも知れませんが、どうなのでしょうか?