そろそろスタッドレスを夏タイヤに戻す季節だが、中には「このまま履きつぶそう」と考えている人もいるはず。しかし油断してはいけない。スタッドレスタイヤを夏タイヤのように使うには、いろいろ危険が潜んでいるのだ!
※タイヤ画像はすべてイメージです。
文/齊藤 聡、写真/AdobeStock(トップ画像=明彦 久保田@AdobeStock)
■タイヤの性能低下の主因は経年劣化と摩耗
いまや冬のクルマライフには欠かせない最強のアイテム=スタッドレスタイヤ。決して安い買い物ではないけれど、冬道の安心と安全が買えることを考えれば買う価値はあり、というか、積極的にお薦めしたいアイテムです。最新のスタッドレスタイヤは性能低下も大幅に少なくなっています。
とはいえスタッドレスタイヤの性能低下はゼロではありません。その中でもどうしても避けられないものの一つに経年劣化があります。
ゴムは古くなると硬くなって柔軟性がなくなっていきます。ゴムの中に練り込まれていたオイルが抜けていってしまったり、ゴムの分子が結びついて(再架橋と言います)柔軟性がなくなってしまったり……。
これは保管方法でも差が出ます。特にタイヤを外して保管しておく時、雨ざらし、陽ざらしすると劣化はどんどん進んでしまいます。なるべく日陰で雨風を避けられる場所に保管するのが良いのです。
それができない場合はタイヤをタイヤカバー(市販しています)やビニール袋などに入れて(密閉しないほうが良いようです)保管します。
ちょっとだけ保管に気を遣ってやるだけで、最新のスタッドレスタイヤであれば3年から4年くらいはゴムの性能をあまり落とすことなく使うことができるようになりました。
もう一つ避けられないタイヤの性能低下の要因が摩耗です。摩耗には大別して2種類あると考えています。一つは通常の摩耗によるタイヤの減り。もう一つは走行中の過度な負荷によるタイヤの減りです。特に後者はゴムの性能が保たれていても氷雪性能を大きく低下させてしまう恐れがあります。
急加速、急減速、急なコーナリングなどを日常的に行うとタイヤの傷みが激しくなってしまいます。具体的にはサイプと呼ばれる極細溝が開いてしまったり、ブロックの角が丸くなってしまったりといった症状が現れます。
ここで言う“急”というのは、スタッドレスタイヤにとって、という意味で、サマータイヤのように走らせるだけでスタッドレスタイヤはダメージを受けてしまうのです。
もし3年、4年後までスタッドレスタイヤの性能をできるだけ維持したいと考えているのなら、シートに体が抑えつけられるような強めの加速をしない。クルマが前のめりになるような強いブレーキな極力避ける。
そして交差点やカーブでアクセルを踏んで曲がらない。といった気遣い……ひらたく言うと、赤ちゃんを乗せているときのように、なるべく穏やかに優しく運転すると、タイヤの偏摩耗を抑えることができます。
で、4年目のシーズンを走り切ったスタッドレスタイヤはどうしたらいいのでしょう? もちろん4年確実に持つわけではなく走行距離によって、もっと早く摩耗が進む可能性もあります。
スタッドレスタイヤがスタッドレスタイヤとして使えるのは、50%摩耗までです。スタッドレスタイヤにはその使用限界を示すプラットフォームという突起が、主に主溝につけられていて、これがブロックと同じ高さになったらスタッドレスタイヤとしては使えないことになっています。
このプラットフォームが出たら法律上はサマータイヤとして使えることになっているのですが、後述する理由により廃棄することをお勧めします。今の時代、そんな資源の無駄遣いをしていいのか、と怒られそうですが、安全と環境を天秤にかけ安全を取ってほしいということです。
コメント
コメントの使い方2015年後半製造のIG50+今年から雨天制動距離やばい位伸びる!
少々急ブレーキでね。
BS GZも10年位で雨で結構滑るようになる。
普通の人はスタッドレスを購入して5〜6年目で履き潰すか廃棄する人が多いのでスタッドレスタイヤを8〜10年使う人は少いのでは?。