夏タイヤと同じような扱いはチョー危険! スタッドレス履きつぶしを過信するな!

■スタッドレスタイヤの「ネガ」を理解しておこう

写真中央(ピントが合った部分)にあるのがスノープラットフォーム。前出のスリップサインに似ているが別のものだ(U4@AdobeStock)
写真中央(ピントが合った部分)にあるのがスノープラットフォーム。前出のスリップサインに似ているが別のものだ(U4@AdobeStock)

 ご存知のようにスタッドレスタイヤは冬の厳冬期でもゴムが硬化しないように柔らかなゴムが使われています。ゴムが柔らかいのは冷えた路面を走るためで、熱くなったアスファルトを走るにはゴムが柔らか過ぎるのです。

 ゴムが柔らかいとトレッドブロックの剛性が弱くなるので変形が大きくなり、操縦性、操縦安定性がサマータイヤほど期待できなくなります。サマータイヤではきびきび走っていたクルマがグニャっとしてしまいます。

 また、ブロック剛性が足りないうえに、サイプによってブロックが細かく切り分けられているので、さらにブロック剛性が小さくなって制動距離が伸びてしまいます。

 スタッドレスタイヤは、サマータイヤに比べウエット路面でのブレーキが苦手と言われているし、またそう感じているユーザーも少なくないと思いますが、これも同じ理由です。サイプで細かく切り分けられたブロックが変形してしまい、接地面積が少なくなるので、制動距離が伸びてしまうのです。

 最近では3Dサイプによってブロックの変形はかなり抑えられるようになりましたが、サマータイヤのブロック剛性には及ばないので、ブレーキ性能の結果も変わりません。

 コーナリング性能も同様で、ブロック剛性が低いと踏ん張りがきかず、ずるずるとタイヤが滑ってしまうことも起こります。

 操縦性の面でもブロックの変形が大きいと、ハンドルを切ってからクルマが反応するまでのタイムラグが大きくなってしまいます。特に急な飛び出しなどで素早いハンドル操作をしたいときに、サマータイヤほどの機敏さが期待できないのです。

 もちろん極めて危険なタイヤというわけではありません。あくまでもサマータイヤと比べたときにということなので、摩耗したスタッドレスタイヤが持っているネガティブな面を理解したうえで、それでもサマータイヤとして履きつぶす、というのであれば、それは個人の判断にお任せするほかありません。

 もう一つ、4年くらいはタイヤのゴムの柔軟性が持続すると書きましたが、そうはいってもゴムは徐々に硬化していきますから、さらに2年、3年使えるかというとそのあたりは大いに疑問です。

 よく言われているように、タイヤのサイドウォールやトレッドの溝部分に深めのひび割れができてきたらタイヤとしての性能がかなり落ちてきているので、残溝のあるなしにかかわらずタイヤの交換をお勧めします。

【画像ギャラリー】どっちがどっち!? スタッドレスタイヤのスリップサインとスノープラットフォーム(8枚)画像ギャラリー

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