絶賛の嵐は真なり? 新型BMW3シリーズの”イマイチ”なところをあえて挙げる!! 

■旧型から大幅サイズアップでキビキビさは減った

そんな中、むしろ変化したことに気づくのはサイズ感だ。寸法諸元を見ると、ホイールベースの41mm延長によって全長は4.7mを突破。

また、1.8mを超えないよう日本仕様だけ気を使っていたドアハンドルも、今回は廃止され、カタログスペック上も1825mmとなる。

ホイールベースは明確に伸びて存在感が大きく上がった。かつての5シリーズのような印象も受ける

数字だけではなく、見た目のボリューム感もたっぷりだ。

前述のボンネット側に折れ曲がった立体的なグリルや、キャラクターラインを減らして「面で見せる」サイド、空力効果を狙った高いトランクリッドなどは、どれも大きく見せるデザイン処理。

それが多用されているってことは、たぶんデザイナー自身が「大きく見せよう」という意志を持っているからだと思う。

そんな上級シフトを意識したのか、インテリアの質感は大いに向上している。3シリーズの内装は機能的ではあるが素っ気ないのが伝統だった。

新型ではセンターディスプレイが湾曲しつつメータークラスターにつながって行くところや、クロームとグロスブラックの対比が綺麗な加飾など、新型は見違えるほどにスマート。

メルセデスがキラキラ系に走って大成功しているのを意識したのかもしれないが、最新スマホにも似たクール系の新しさが表現されている。

もちろん、価格的にも新型は上級シフトしていて、先日試乗した330i Mスポーツは632万円。

ADAS系の大幅進化や日本仕様はほとんどの装備が標準となるてんこ盛り仕様ということもあるが、なかなかサラリーマンにはきつい価格になったという気がする。

走りは「さすが」と思わせる部分だが旧型と比較するとややゆったり傾向のようだ

それでも、走りのキャラクターについてはさすが3シリーズ、乗ればやっぱり現代最良のFRスポーツの一つであることは間違いない。

2L直4ターボ(258ps/400Nm)は、もはやダウンサイズターボというよりそれ自体が魅力的な2Lターボスポーツエンジン。

最大トルク400Nmのパンチはかなり強力だし、過給しているとは思えない自然なトルク特性でスムーズに吹き上がるのも心地よい。

ドライブモードで“スポーツ”を選ぶと、エキゾーストの抜けが良くなってエンジンの吹き上がりはさらにシャープさを増し、サスペンションは従来型の“スポーツ”よりずっとハードに変化する。

このスポーツモードでは、いかにも3シリーズらしいスポーティ志向が明確になるのだが、足回りの変化はかなり固め。

箱根のようなワインディングでは、操舵レスポンスにガシッとした手応えが加わるのが頼もしいが、街中ではBMWファンにとってすら乗り心地面でちょっとツライかもしれない。

やはり待つべくは真打ち6気筒搭載グレードなのだろうか!? 2019年内に320dは日本導入予定(写真は旧型の340i)

ドライブモードには新たに状況に応じて変化する「アダプティブ」が追加されたから、積極的なドライビングを楽しみたい時にはそこを選んでおくのが無難だろう。

シャシー性能について敢えて注文をつけるとしたら、タイヤ性能の向上によってこれまで以上にオンザレール感覚が強まっていることだ。

現状330iはMスポーツのみの設定だが、4ポットブレーキ、10mmローダウンの可変ショック、電制LSDなど、足回りのスペックはまさに完全武装。

完璧なスタビリティと引き換えに、アクセルで回頭させるFRっぽい感覚は希薄で、FRらしくアクセルを踏んで積極的に回頭させる感覚を味わうには、直6ツインターボ(374ps/500Nm)の340iが必要だ。

このあたりも、ぼくが新型3シリーズにときめかなかったひとつの要因。スタビリティはややルーズでも、ワインディングを軽快に駆け抜ける感覚は従来型F30系の方が刺激的。

ひと回り小さく感じるサイズ感も、日本のワンディングを楽しむにはお手頃なのだ。

ま、改良を重ねて、いずれは「F30ももう古いよね」と言われる時が来るのだろうが、今のところぼくは従来型F30系3シリーズの方が「ときめき」があると思うなぁ。

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