■先代モデルはとても売れてたのに…なぜ現行型は売れない?
●ミドルサイズセダン:スバルWRX・S4
*2022年の1カ月平均登録台数:約300台
発表は2021年11月だから、設計は新しいが、売れ行きは低迷している。納期を販売店に尋ねると「3~4カ月」だから、特に長くないのに、2022年の登録台数は1カ月平均が約300台に留まった。
伸び悩む理由は、WRXのようなスポーツ指向のセダンが人気を下げたことだ。しかもWRX・S4は、CVT(無段変速AT)装着車になる。先代WRXは、CVTを搭載するS4に加えて、各種のメカニズムが異なる6速MT専用のSTIも用意していた。
先代型のSTIは、現在のWRX・S4・STIスポーツRとは異なり、モータースポーツの参戦も視野に入れたチューニングのベース車両だった。このようなクルマ好きにウケるマニアックな取り組み方が、現行WRX・S4では薄れてしまい、充分な支持を得られていない。
今後の展開としては、6速MTの追加などが考えられる。また全長は4700mm以下だが、先代型に比べるとボディが大型化され、エンジン排気量も2Lターボから2.4Lターボに拡大された。これによって実用回転域の駆動力は高まったが、最高出力や最大トルクは下がっている。好調に売るためには、動力性能の数値を高めることも大切だ。
■個性派な軽「コペン」の魅力アップさせるには?
●スポーツクーペ:ダイハツコペン
*2022年の1カ月平均届け出台数:約550台
今は新車として売られる乗用車の40%近くが軽自動車になった。そして軽乗用車の約50%は、全高を1700mm以上に設定してスライドドアを備えるスーパーハイトワゴンだ。
そのために背の低い軽自動車は、価格を徹底的に安く抑えたアルトとミライース以外、売れ行きが低迷する。軽自動車サイズのクーペとなるダイハツコペンは、2022年の1カ月平均届け出台数が約550台だ(トヨタが扱うコペンGRスポーツを含む)。流行からはずれて、タントの6%しか販売されていない。
しかしコペンは魅力的な商品だ。軽自動車だが内外装は上質で、電動開閉式ハードトップも標準装着する。低重心でコンパクトなボディは、峠道などの運転も楽しい。道幅の狭いちょっとしたS字カーブでも、スポーティな走る楽しさを味わえる。
バリエーションも豊富で、標準タイプのコペンローブに加えて、丸型ヘッドランプのコペンセロ、専用の内外装やサスペンションを備えたGRスポーツも選べる。
こういった車種は、細々とでも長く造り続けることで、ユーザーにメリットをもたらす。衝突被害軽減ブレーキを装着するなど、改良を加えながら今後も存続させて欲しい。
■スーパーハイトワゴン市場が強すぎる!! 同じ軽自動車でも販売が大苦戦
●ホンダN-WGN
*2022年の1カ月平均届け出台数:約3500台
2022年の1カ月平均届け出台数は約3500台だから、ほかの車種に比べてヒト桁多い。それでもN-BOXは、2022年の1カ月平均届け出台数が約1万7000台だったから、N-WGNはその20%しか売られていない。
N-WGNの売れ行きが伸び悩む一番の理由は、N-BOXの高人気だ。今はスーパーハイトワゴンが圧倒的で、特にN-BOXは、ライバル車のタントやスペーシアと比べても届け出台数が約2倍に達する。その結果、N-WGNは存在感が相対的に乏しくなり、N-BOXに需要を奪われた。
スズキの販売店では「ワゴンRのライバル車は、ホンダ車ならN-WGNになるハズだが、実際に競争するのはN-BOXだ。ハスラーを検討するお客様も、N-BOXと比べることがある」という。ホンダの軽自動車は、用途に関係なくN-BOXが売れ筋だ。
ところが実際には、N-WGNのメリットも多い。ボディが軽いから、N-BOXよりも動力性能や燃費が優れている。シートアレンジが単純な代わりに、後席の下側には、横幅が約1mのワイドなトレイを装着した。傘や靴などを収納できる。荷室の床も低く、専用のボードを使うと、上下2段に分割して棚のように使える。
さらにN-BOXの標準ボディのLは、価格が157万9600円だが、N-WGNの同グレードなら139万9200円に収まる。従ってホンダの軽自動車を合理的に選ぶときは、まずN-WGNを検討する。その上で、もっと広い室内やスライドドアが欲しいと思ったら、N-BOXも選択肢に含めるのが良い。
N-BOXが超絶的な人気を得ているので、N-WGNの売れ行きを増やすのは難しいが、販売店からは「フロントマスクに対するお客様の評判がいま一歩」という話が聞かれる。そこでカスタムを中心に、フロントマスクのデザインを改善したい。またN-BOXにはSUV風のグレードがないため、N-WGNに、フリード/フィットクロスターのような仕様を追加すると良い。
【画像ギャラリー】魅力的なポイントもあるが……WRX S4 カローラセダンなど販売が伸び悩むクルマたちを画像で見る!(39枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方S4が売れないのは特徴的なフェンダーアーチを始めとする未塗装の樹脂パーツの多さだと思うのですが如何でしょうか?
内装もデザイナー自己満足の配色やセンスのないステッチ。
塗装するのも余分な金がかかるので私はそれがイヤで購入するのを辞めました。