ガラス中間膜の調整で今後さらに表示エリアが拡大できるHUD
近年普及が進んでいるHUD(ヘッドアップ・ディスプレイ)も、ガラス技術の進化によって可能となったものです。HUDは、インパネの裏側に配置されたプロジェクターから投射されたナビ情報や車速、シフト位置などの情報を、反射ミラーや拡大ミラーを通して前方2~3mほど先の虚像としてフロントガラス下面に映し出す表示技術ですが、今後は、周囲の景色に情報を重ねて表示するAR(拡張現実)を活用したAR HUDの登場などによって、さらにフロントガラスの広いエリアを使って普及することが予想されます。さらには、2次元映像でなく3次元映像を表示するデジタルホログラムのHUDも開発されています。
HUD用のガラスには、フロントガラスの内面に特殊な塗料をコーティングしたり、中間膜を使ってプロジェクターのように映像を投影するのが一般的ですが、中間膜に発光材料を使ってフロントガラス全面に投影できるAR HUD用ガラスや、ホログラム対応のガラスの開発も進められています。
次世代ディスプレイのカバーガラスは「より薄く、より強く」が必須
液晶ディスプレイは、映像を映し出す液晶パネルの上にタッチパネルや光学粘着剤を塗布し、その上をカバーガラスで覆っていますが、ディスプレイの面積が大きくなれば、ガラスはそのぶん強度を高める必要があり、かつタッチパネルの機能を阻害しないため薄いガラスが必要。そのためディスプレイのカバーガラスには、ガラス表面に圧縮層を形成する特殊な強化ガラスが採用されています。
また湾曲したダッシュボードに張り付けるために必要となる技術として、ガラスを加熱することで軟化させて成型後に冷却して固める「ホットベンディング」や、板ガラスを部品形状に合わせて変形、固定する「コールドフォーム」のような成形加工法などが開発されています。将来的には、HUDと同様に、大画面の液晶画面にホログラム映像が浮かび上がり、助手席でも情報が確認できる立体的な3D画像が出現することが予想され、これに対しても高度なガラス技術が必要となります。
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ドライバーへの情報伝達の量と質の向上が求められるなか、その表示デバイスであるウインドウガラスや液晶ディスプレイは今後さらに注目度が増していくことでしょう。従来の透明で硬くて曲がらないガラスでなく、多種多様なパネルに対応できるガラス技術の飛躍的な進化が期待できそうです。
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