はたして内燃機関は勝ったのか? EUが承認した「eフューエル」は予想以上にクセモノだった!?

■リッター1000円を切るのは難しい?

WRCでは2022年シーズンから合成燃料(P1レーシング・フューエルズが供給するため「P1燃料」と呼ばれる)を使っているが、EUのeフューエルにはみなされない可能性もある
WRCでは2022年シーズンから合成燃料(P1レーシング・フューエルズが供給するため「P1燃料」と呼ばれる)を使っているが、EUのeフューエルにはみなされない可能性もある

 一方、20km/Lのエンジン車が1km走ると100gの二酸化炭素を出す。逆に考えると1km走らせるため、50mプール8つ分の二酸化炭素を大気中から回収しなければならない。といった数字を並べるだけで、技術的にもコスト的にも難しいということがイメージ出来るんじゃなかろうか。

 参考までに書いておくと現在WRCなどで使われているP1燃料は、eフューエルに含まれないと思う。P1燃料で使われている二酸化炭素は大気中から回収されたものでないし、植物由来の素材で化学合成をしているためだ。

 また資源エネルギー庁が出している「将来的にリッター200円」となっている合成燃料のコストに出てくる二酸化炭素の価格も、大気中から回収したものじゃない。回生可能エネルギーから作った水素と大気中から回収した二酸化炭素で作るeフューエルは高いと思う。

「高いと思う」の根拠は、現時点で1万円とか2万円のケタと思えないためである。それくらい大気中の二酸化炭素を回収するコストって高い。楽観的に見ても1000円を切ることは難しいんじゃなかろうか。

資源エネルギー庁が試算した合成燃料の価格推移のイメージ(資源エネルギー庁)
資源エネルギー庁が試算した合成燃料の価格推移のイメージ(資源エネルギー庁)

 なんせ大気から二酸化炭素を回収するにも、大気から水素を作るのも、水素と二酸化炭素を合成するのも、大量のエネルギーが必要。この場合のエネルギー=電気だ。だったら電気で直接クルマを走らせた方がいいし、水素使った燃料電池というアプローチだってある。

 皆さん見ているeフューエルは幻のようなもの。今後植物由来の素材や、火力発電所由来の二酸化炭素が使えるようになるかといえば、今のところ難しいと思う。すでに欧州議会や欧州委員会はeフューエルの定義を「大気中から回収した二酸化炭素と水素で作ったもの」と決定した。

 参考までに書いておくと、世界規模で見た場合、合成燃料の可能性は大きい。前述の通り現在進行形で、中南米は植物由来のアルコール燃料を使っている。大気中の二酸化炭素を植物が効率良く吸収したものなので、カーボンニュートラルと考えていいだろう。ひまわりの種などからもアルコールを作れるため、ガソリンと大差の無いコストになると思う。発展途上国や新興国向けです。

 日本はどうかといえば、最も安価なエネルギーであり、自給自足や地産地消が可能という点で電力をそのまま使える電気自動車メインになると思う。トラックなどは電気分解で作った水素使う燃料電池ですね。太陽光発電と風力、地熱発電で国内の使用量を十分カバー出来る。eフューエルは資源エネルギー省のコスト目処を見ても国産だと割高になるためハードル高い。

【画像ギャラリー】給油設備などがそのまま使える! 合成燃料をやさしく解説してみた!(10枚)画像ギャラリー

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