はたして内燃機関は勝ったのか? EUが承認した「eフューエル」は予想以上にクセモノだった!?

はたして内燃機関は勝ったのか? EUが承認した「eフューエル」は予想以上にクセモノだった!?

 2035年にエンジン車の販売を禁止するとみられていたEUが、一転合成燃料(eフューエル)の認可に舵を切った。「内燃機関は正しかった!」と勝利を叫ぶ声も聴かれるが、どうやら話はそれほど簡単じゃない。少し気分を落ち着けて、EUが認めた「eフューエル」の正体を探ってみよう。

文/国沢光宏、写真/資源エネルギー庁、トヨタ、Climeworks、Adobestock(トビラ写真=mila103@Adobestock)

■認められるのは大気中の二酸化炭素と水素を合成した燃料のみ?

合成燃料は二酸化炭素と水素から製造される(資源エネルギー庁)
合成燃料は二酸化炭素と水素から製造される(資源エネルギー庁)

 今まで欧州はカーボンニュートラル達成のための乗用車用パワーユニットとして電気と燃料電池しか選択肢がなかった。しかしドイツやイタリアなどの反対を受け「eフューエルに限りエンジン車も認める」という方向に舵を切っている。

 この流れを受け電気自動車懐疑派の皆さんは「そらみたことか。すべてのクルマを電気自動車にするなんて無理」と大喜びしてます。

 ここで問題になってくるのがeフューエル。果たしてどんな燃料なんだろう? 

 eフューエルについて書かれた内容を見ると「大気中の二酸化炭素と水素を合成して作ったもの」に限定している。中南米で多く使われているトウモロコシやサトウキビなどから作ったアルコールは対象外。植物由来のアルコール、大気中の二酸化炭素を光合成で吸収したものなので概念的に近いと思うのだけれど。

 また、火力発電所などから排出される濃度の高い二酸化炭素は回収しやすいが、これまたダメ。火力発電所だけカーボンニュートラルになるものの、クルマで燃焼させたら大気中に排出されてしまう。

 クルマの排気管から出た二酸化炭素を回収して再度eフューエルにするならOKながら、そんなこと出来ない。したがって文字通り大気中から二酸化炭素を回収する方法を探ることになる。

 専門的には「直接空気吸収技術」(Direct Air Capture)と呼ばれるアプローチで、吸着剤などを使うかアンモニアと反応させ尿素にするなどして回収することになるのだが、そもそも大気中の二酸化炭素濃度は0.04%くらいしかないため(大気1立方メートル中にたった4cc分)、50mプール分の大気中に6リッターしか含まれていない。12gということになります。

次ページは : ■リッター1000円を切るのは難しい?

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