スバル製サンバーの価値がスゴい!! 軽自動車からの撤退は正しかったか!? 

■利益率の高い登録車へかじ取りの変更は正しかった理由とは?

軽乗用車の自社生産撤退や5代目レガシィの北米での成功によって利益率を改善。開発費に余裕が生まれ日本向けのレヴォーグ登場にもつながった
軽乗用車の自社生産撤退や5代目レガシィの北米での成功によって利益率を改善。開発費に余裕が生まれ日本向けのレヴォーグ登場にもつながった

 もう1つの「選択と集中」に関しては、次の理由が挙げられる。

 現代のクルマは、排ガスをはじめとした環境対応や運転支援システムを含めた安全性能など、開発に必要な工数や確認事項が20世紀までに比べ激増している。

 そのため、軽自動車に使っていた開発資源(人員、資金、時間など)を利益率の高い自社製の登録車に回すというのも企業としてごく正しい判断だ。

 このときの軽乗用車の自社生産撤退という決定の正しさは数字にも明確に表れている。

 軽乗用車の自社生産を終えた2012年の翌2013年に、スバルは軽自動車なしのなかグローバルで約80万9000台を生産。

 ピークとなった2017年には約107万3000台、2022年も新型コロナウイルスという要因がありながら約84万9000台を生産し、利益率を大幅に改善した。

 また、軽乗用車の自社生産撤退を発表した2008年の翌年となる2009年登場の5代目レガシィは「北米市場重視で日本市場を軽視している」といった声もあった。

 しかし、軽乗用車の自社生産撤退や5代目レガシィの北米での成功による利益率の改善で開発費という軍資金に余裕が生まれた。

 2014年には4代目モデルまでのレガシィの後継車的存在で、日本市場がメインとなるレヴォーグをリリースすることもできた。

 このあたりを総合すると自社製の軽乗用車はなくなったが、いろいろな意味で2008年の軽乗用車の自社生産撤退の決断はスバルの存続やスバルが前進するために正しいものだったと断言できる。

■自社サンバーはなぜいまだ人気なのか?

サンバーシリーズの発売50周年を記念した特別仕様車「WRブルーリミテッド」
サンバーシリーズの発売50周年を記念した特別仕様車「WRブルーリミテッド」

 スバル自社生産の軽1BOX&軽トラックとなるサンバーは中古車市場でいまだ大人気である。

 サンバーはもともと、スバル360のパワートレーンやサスペンションを使ったというモデルという背景から生まれたモデルのためRR構造、四輪独立サスペンションという基本構造を持つ。

 さらに平成以降になるとエンジンは4気筒、他社の軽トラックにはほとんどないスーパーチャージャーという過給機付きも設定された。

 4WDのMTは1速よりさらに駆動力が強いEL(エクストラロー)付きなので実質6速という、見方によってはポルシェ911に近いといえば近い、マニアックな面白い存在だ。

 こんな軽1BOX&軽トラックが今後出るとは思えないだけに、スバル自社製のサンバーがいまだ人気なのは当然だ。

 そのため中古車、特に最後となった6代目モデルの最終年式に近い、走行距離の少ない物件の価格は新車並み、新車以上ということも珍しくないほどの高値安定となっている。

 そんなクルマだけに筆者は、必要性こそゼロながらスバル自社製サンバーを自分のものにすることが長年の小さな夢だった。

 筆者のボスである国沢光宏氏が乗っていた6代目モデルのトラック4WD+スーパーチャージャーのMTを手放す際に譲ってもらい、2年ほど乗っていた。

 自分のものとしたサンバーでは某スバル専門誌で連載をさせてもらい、そのなかで各部のメンテナンスや最近流行りの車高上げ+オフロードタイヤの装着などを行った。

 燃費だけは褒められたものではなかったが、それ以外は個性的かつプリミティブな乗り味など、筆者はサンバーに本当に楽しませてもらった。

 ちなみに筆者の乗っていたサンバーは読者の方が引き取ってくれ、今もその方のもとで元気に走っている。

 また、スバルの工場でサンバーを造っていた生産ラインは86&BRZの生産ラインに移行。

 筆者は中古車で買った86に6年近く、現在は現行BRZに乗っていることもあり、この点には何かのご縁を感じている。

次ページは : ■記憶に残るスバルの自社軽乗用車名車 3選

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