スバルが軽自動車の自社生産撤退を発表してから、15年が経過した。2023年現在、販売されている軽自動車はすべてダイハツOEM車である。生産終了車には個性的なものが多い。特にサンバーは中古車市場で大人気だ。なぜ撤退という道を選んだのか? その道は正しかったのか??
文/永田恵一、写真/SUBARU
■スバルが軽自動車の自社生産を終えて15年 なぜ撤退の道へ歩んだのか?
スバルが軽自動車の自社生産からの撤退を発表してから15年、軽トラック&1BOXのサンバーを最後に軽自動車の自社生産を終えてから11年が経った。
自社生産終了後、スバルの軽自動車はダイハツのOEMとなった。
スバルの軽自動車の自社生産終了を惜しむ声は、スバルの軽自動車が個性的なモデル揃いだったこと。
加えてスバルのクルマ造りは1958年に登場したあの360からはじまったこともあり、発表時はもちろん、いまだに多い。
しかし、スバルの軽乗用車の自社生産撤退には相応の理由があり、ここではその理由を今一度考え、スバルが残した軽自動車の名車を振り返るなどしてみた。
■スバルが軽乗用車の自社生産から撤退した理由とは
その理由は軽自動車がスバルにとって重荷だったことと、スバルが「選択と集中」という道を選んだからだと思う。
「軽自動車が重荷だった」というのは、スバルが軽乗用車の自社生産からの撤退を発表する前年の2007年、スバルは海外生産分を含め約58万台を生産。国内販売は約22万6000台、そのうち軽自動車は約14万1000台だった。
スバルの国内販売において軽自動車の比率は大きかったが、軽自動車は価格が高くないこともあり、利益率は低い商品である。
このことは他社と比べてみると、スバルとは軽自動車への比重が違うという前提になるが、2007年に軽自動車をスズキ約59万1000台、ダイハツ約61万5000台販売。
軽自動車事業の維持には大きな販売台数が必要なのがよく分かる。
さらにスバルの軽自動車はスバルらしいこだわりとして、サスペンションは長年四輪独立、エンジンは平成以降4気筒という、いかにもコストが掛かりそうなメカニズムを採用していた。
それでいてスバルの軽自動車の価格が他社とそれほど変わるということもなかった。
この点はユーザーにとってはお買い得ではあるが、スバルにとっては軽自動車の利益率がいろいろな意味で良くなかったというのは容易に想像できる。
また、これは筆者の想像だが、スバルが軽自動車の自社生産撤退を発表した2008年の時点で、スバルの軽自動車用4気筒エンジンは基本設計から20年近くが経っていた。
そのため、「そろそろ新しいエンジンをどうする?」ということも議論されていた時期と思われ、そのための開発費をはじめとした投資もスバルにとって頭の痛い問題だったのではないだろうか。
という背景だった当時、スバルはトヨタとアライアンスを結んでおり、スバルはトヨタを介してダイハツとも関係を深めていた。
そうであればアライアンス内で軽自動車を造るメーカーが2社あるのは経営的には無駄である。
それならば、軽自動車の販売台数やいろいろな意味で曲がり角にあったスバルが軽自動車から撤退。
軽自動車はダイハツからのOEMで補うというのは感情的なものは別問題として、企業として順当な決定である。
コメント
コメントの使い方サンバー乗ってます、180000キロ乗りました、雪降れば後車輪上荷物室に砂袋2✕2乗せてます、走りますよ、エンジン下からの油漏れ修理しました、先月エンジンオイル室洗浄しました、エアコン高圧パイプ、コンプレッサー、ダイナモ交換しました、運転席は広いです、もう少し乗って居たいですね
他の軽メーカーと比較して、確かに4気筒エンジンなど、高コストなスバルの軽は、「商売」的には厳しかったのは分かる。
しかしエンジンの静かさや乗り心地等は、他の軽メーカーより良く、「商品」としては上だと思う。
しかし軽を購入する人々は、そこまで求めないんだね。
スバル製の軽が無くなったのは残念だけど、現在レヴォーグやBRZ、クロストレック等で元気なスバルを見れば、まあ良かったのかな、とも思う。