トヨタからパッソの生産終了が発表された。2023年9月下旬をもって、トヨタ最小コンパクトモデルが姿を消すこととなる。2004年に初期型が登場してから約19年、トヨタのエントリーモデルとして間口を広め、販売に貢献してきた車種だ。
幕を下ろすパッソの現在の受注状況や、今後の動きを取材してきた。現在判明しているパッソの情報をお伝えしよう。
文/佐々木 亘、写真/トヨタ
■受注打ち切りの店舗もあるが……
現行型パッソの生産を行っているのはダイハツ。その生産ラインが止まるのが、2023年9月下旬となる予定だ。
パッソの新車納期は、3月下旬ごろには2~3か月といったところだった。終売が発表され、若干需要が増えたようで、現在では4か月程度と伝えてくるディーラーが多い。中には、既にオーダーを打ち切っており、新車の注文ができないお店もある。
月販2,500台~3,000台を行ったり来たりするパッソ。トヨタ各販社への生産台数の割り当ては、ひと月当たり多くても10台前後がいいところだ。それほど多くの受注残がある車種ではないが、既に9月までの配車予定枠が埋まっている店もある。
駆け込み需要は多く、特に法人から注目が集まっているようだ。実際に法人からの大口発注は、生産終了発表後に増えたという。一つの会社からまとめて5台、10台という注文が入り、9月までの配車枠が埋まったという販社もあった。
ただ、個人向けにはほとんど売れ行きは変わっていないというパッソ。新車オーダーが難しいと断られた場合でも、在庫車の有無は確認してもよさそうだ。中には登録済み未使用車として中古車展示場に鎮座する現行型パッソもあった。
終売ニュースが流れる前までは、若干余り気味だったパッソ。どうしてもパッソが欲しいけど、新車のオーダーができないという方は、在庫車や登録済み未使用車を探してほしい。トヨタディーラーでもお店を変えるだけで、結構対応が違うものだ。
■パッソの後継車はあるのか?トヨタコンパクトラインナップの今後
トヨタのコンパクトカーラインナップからパッソが抜けると、残りはヤリス・アクア・ルーミー・カローラスポーツの4台となる。この中で最も価格が安いのはヤリスの147万円~で、これまでのパッソ(127万5000円~)よりも、エントリーモデルが約20万円高くなるのだ。
ユーザーにとっては、選択肢が減ることとなる。しかし、パッソの月販台数は他のコンパクトカーに比べて、それほど大きな台数ではないことから、至急パッソの穴埋めに走る必要はないはず。
生産終了を発表した後も、パッソの後継車に関する情報はほとんどなく、実質的にはヤリスのガソリンモデルが、パッソの代わりを務める方向性が濃厚だ。
これまでは、パッソとヤリスのガソリン、ヤリスのハイブリッドとアクアのキャラかぶりが起こっており、売り手側にも若干の迷いがあった。実際に販売現場では、パッソを買おうと考えていたユーザーにヤリスのガソリンを薦め、ヤリスの契約を取るというケースも多かったという。
パッソの終売で、トヨタのエントリーモデルはヤリスで統一され、アクアの立ち位置が一つ上がるという状況になる。プチトヨタとして親しまれた時代を知るものとしては、パッソの後継が出ないというのは少々寂しさも残るが、効率的な生産・販売体制を整えるためには、仕方ない措置なのであろう。
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