1997年にデビューした初代プリウスは、インパネ中央にデジタルメーターを配置したセンターメーターを初採用したモデルでした。ステアリングホイールのスポークの隙間越しにメーターを見る一般的なレイアウトよりも、センターメーターは大きな画面でやや遠くに位置するので、ピントが合わせやすく視認性に優れるということで、一時は採用するクルマが増えました。
2010年以降は採用例が減少しましたが、プリウスは先代の4代目まで採用するなど、センターメーターはプリウスの象徴的な装備でした。ところが、5代目となる新型プリウスでは、センターメーターをやめて、さらに先進性をアピールするトップマウントメーターに変更しています。
電気自動車のトヨタ「bZ4X」/スバル「ソルテラ」でも採用されている、トップマウントメーター。メリット/デメリットを整理しながら、今後普及する可能性があるのか!?? 考察します。
文:Mr.ソラン、エムスリープロダクション
写真:TOYOTA
視認性が向上し運転に集中できるが、評価には個人差も
トップマウントメーターは、メーターをステアリングホイールのスポークの隙間でなく、上側を通して見えるように配置したメーターレイアウトです。昨年デビューしたバッテリーEVのスバル「ソルテラ」/トヨタ「bZ4X」で採用され、海外ではプジョーが同じようなコンセプトの「i-COCKPIT」を、2012年頃から採用を続けています。
新型プリウスのトップマウントメーターも、7インチのディスプレイを、ダッシュボードの上部のフロントガラス付近に設置して、ステアリング上部から確認できるようにしています。これにより、メーターに視線をずらした時に視線の移動が少なく、ピントを変える必要もなくなることで、視認性が向上します。最近普及しているヘッドアップディスプレイと同じように、運転中の視線移動/ピント調整を最小限にすることで、疲労を軽減して運転に集中できるのが最大のメリットです。
一方で、ドライバーのヒップポイントとステアリングホイールの位置関係によっては、ステアリングホイール上端部がメーターに被り、視認性が悪化する可能性がある、という課題もあります。たとえば、シートポジションが低めで座高の低い人が、ステアリングホイールを高く設定すると、メーターが見づらくなります。新型プリウスではステアリングホイールをやや小径にして、メーターかぶりを解消しようとしていますが、それでもメーターが見づらいという意見も散見されます。
視認性を確保できるよう、シートアジャスタでヒップポイントを、チルト機構でステアリングホイール位置を調整すればよいわけですが、ドライバーにはそれぞれ、自分に合った好みのポジションがあるので、それを変更することに抵抗があり、ストレスを感じる人がいるかもしれません。そうなると、誰にでも好まれる装備というわけではなく、ユーザーを選ぶことになってしまいます。
コメント
コメントの使い方センターメーターは当初人間工学的に見やすいと宣伝しながら実際には視線移動が多く見にくかったから支持されなかった。センターメーターというだけで敬遠されてしまうから廃止にしたのは英断だと思う。
あと、助手席とか後部座席の人に速度を見せてあげるのも余計なお世話って言われてたね。
プリウスをはじめトヨタのクルマは元々ステアリングコラムの位置が低く設定されているものが多く、そのおかげで前方視界の確保が他社製品よりもきちんとできていますね。素晴らしいことだと思います。
そういった細かい配慮が消費者に受けて、結果的に世界一の自動車メーカーになれたのではないでしょうか。