あのクルマの最小回転半径は?
ここからは気になるクルマの最小回転半径を見ていくことにしよう。なお、ここで比較するのはあくまでカタログデータであり、実際に運転していての曲がりやすさはフロントオーバーハングの長さや視界などにも影響されることをお断りしておく。
ちなみに、一般的に最小回転半径が5m以下だと小回りが利くといわれている。
●コンパクトSUVはどのクルマがよく曲がる?
まずは人気の国産コンパクトSUV(クロスオーバーモデルも含む)をチェック。
・スズキ クロスビー/4.7m
・ダイハツ ロッキー/5.0mまたは4.9m
・日産 キックス/5.1m
・トヨタ C-HR/5.2m
・マツダ CX-30/5.3m
・マツダ CX-3/ 5.3m
・トヨタ ヤリクロス/5.3m
・ホンダ ヴェゼル/5.3mまたは5.5m
・三菱 エクリプスクロス/5.4m
・スバル XV/5.4m
上記の結果はほぼ想像どおりといったところだが、車体サイズが小さく思えるヤリスクロスの数値が大きいのが意外だ。
なお、同じトヨタ製で車体サイズがヤリスクロスより大きいカローラクロスの最小回転半径は5.2mと小さく、それが使い勝手がよいという評価につながっている。
●ミニバンの最小回転半径
現在ではSUVと並ぶ人気を誇る国産ミニバンのなかから、代表的な車種をピックアップして最小回転半径を比較した。
・トヨタ シエンタ/5.0m
・ホンダ フリード/5.2m
・スズキ ランディ/5.5m
・三菱 デリカD:5/5.6m
・日産 エルグランド/5.7m
・トヨタ アルファード/5.6mまたは5.8m
ミニバンといってもサイズはさまざまで、装着されるタイヤも15~18インチと幅広い。やはりタイヤが小さいモデルは最小回転半径も小さく、ビッグタイヤはこの点において不利になる。
もちろん、クルマの性能が最小回転半径だけで決まるものではないのは言うまでもない。
最小回転半径を小さくする裏ワザとは?
最後は、いかにも小回りが利かなさそうに思えるのに、思いのほか小さい回転半径を実現しているクルマを紹介したい。
●トヨタ クラウンクロスオーバー
2022年にデビューしたクラウンの新世代モデルがクラウンクロスオーバー。このクルマは全長が4930mmと長く、さらに超大径の21インチタイヤを採用しているのにもかかわらず、最小回転半径は5.4mと小さめ。
実は、これには後輪も操舵する「DRS(ダイナミック・リア・ステアリング)」によるところが大きい。低速での旋回時には逆位相(前輪とは反対向きに操舵する)に動くDRSのアシストにより、ミッドクラスのセダンより小さい回転半径を実現している。
●日産 新型フェアレディZ
いかにもキビキビと走りそうな印象のあるスポーツカー。しかし、こと最小回転半径を考えると、意外に小回りが利かないクルマも多い。
スポーツカーには幅広・大径タイヤが装着されることが多く、さらに安定したコーナリング性能を発揮させることを目的に4本のタイヤをできるだけ車体の四隅に配置するため、車体サイズにしてはホイールベースが長めになり、これが大きめな最小回転半径につながる。
そもそも本来スポーツカーは狭い路地を走るのが主目的ではなく、高速での走行安定性とクイックなコーナリング性能が重要で、最小回転半径を小さくすることにそこまで注力はされていない。
しかし、2022年にデビューした日産の新型フェアレディZは、5.2mとスポーツカーとしてはかなり小さな最小回転半径を実現した。直接の競合車種ではないものの、同じFRスポーツカーであるトヨタ GR86の最小回転半径5.4mに比べるとやはり小さい。
フェアレディZが小さな回転半径なのはホイールベースが短いから。先のGR86が2575mmなのに対し、フェアレディZは2550mmであり、これが最小回転半径の違いにも影響している。
ここまで見てきたように、クルマの最小回転半径はさまざまで、同じようなカテゴリー&車格のモデルでもその違いは小さくない。
アナタがもしクルマの購入を考えていて、車種選択で迷っているなら、住んでいる地区の道路事情を考慮しつつ、最小回転半径も判断材料のひとつにするのは悪くないだろう。
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