ステーションワゴンブームはなぜ終わったのか?
1990年代には人気の絶頂にあったステーションワゴンだったが、現在では人気カテゴリーとはいえない。では、何がステーションワゴンブームを終わらせたのか?
ステーションワゴンブームの陰りは早くも1990年代末期に始まっている。その要因となったのがミニバンの台頭だ。
ミニバンもステーションワゴンと同様に商用車のイメージが強いカテゴリーだったが、1990年代に発売されたホンダ オデッセイやトヨタ エスティマはそれまでのミニバンに比べるとスタイルの洗練度が高く、一般ユーザーも違和感なく使えるようになった。
こうして今度はミニバンのブームが始まった。ステーションワゴンのほうがスマートではあったが、室内の高さに余裕があり、さらに荷物積載量の多いミニバンは、子どもの多い家庭にも受け入れられた。
ミニバンに押されつつあったステーションワゴンに、さらなる打撃を与えたのがSUVだ。
それまで悪路走行もこなせるクロスカントリーモデルはやはり使用者が限定されがちだったが、この“クロカン”の要素もとり入れつつ、街乗りにも適応するSUVもまた時代が進むに連れて洗練されたスタイルになり、それがファミリー層だけでなく若者にも高い訴求力を発揮した。
メーカーが売れ筋のカテゴリーに力を入れるのは当然であり、そのぶんステーションワゴンが手薄になっていったのは仕方のないことだった。
クラウンエステートの復活はステーションワゴン再興につながるか?
現在でも現役で販売されている国産ステーションワゴンはトヨタ カローラツーリングやスバル レヴォーグ などの数車種にすぎず、かつての隆盛を知るステーションワゴンファンはさみしいばかり。
だが、そんなステーションワゴン冬の時代に希望の光が差す可能性もある。それがクラウンエステートの復活だ。
クラウンエステートは以前トヨタがラインナップしていたクラウンのステーションワゴンモデルで、実際にエステートに改称される前はクラウンステーションワゴンの名で販売されていた。
しかしそのクラウンエステートも2007年をもってカタログから姿を消し、以降クラウンのステーションワゴンモデルは空席になっていた。
そんななか、2022年に大幅なリニューアルが断行されたクラウンにおいて、15年ぶりにエステートが登場するというのだ。
新生クラウンエステートの販売はまだスタートしていないが、すでにその姿は公開されている。
公開された新世代のクラウンエステートは、以前のモデルに比べるとステーションワゴンというよりSUV寄りのルックスになっている。
新たなクラウンエステートのフォルムは、果たしてステーションワゴンと呼んでよいのかさえ迷ってしまいそうではあるが、ここはまずエステート(=ステーションワゴン)の名称が復活することを喜びたい。
日本国内での勢いは落ちてしまっているが、海外に目を転じるとステーションワゴンの人気は健在だ。
特に欧州では流行に左右されず、ひとつのカテゴリーとしてステーションワゴンが定着している。
ヨーロッパでは高速で長距離巡行できる道路も多く、その際に車高が低めで空気抵抗が小さいため燃費に優れ、さらに荷物がたくさん詰めるステーションワゴンの利点が大きく生きてくるということだ。
実際、メルセデスベンツやBMW、ボルボなど多数のメーカーが最新のステーションワゴンモデルをラインナップしていて、そのどれもが人気を集めている。
もちろんこれは国境さえもクルマで越えてしまうことの多い欧州の話であり、それがそのまま日本国内にも当てはまるわけではない。だから今後日本でステーションワゴンブームが再来するとはいい切れない。
とはいえ、まだまだ魅力も多いステーションワゴンが再評価される可能性は十分にあり、このカテゴリーのファンはその日がくることを期待して待ちたい。
【画像ギャラリー】走ってもよし、載せてもよしのステーションワゴンの歩みを見る(17枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方「よいしょっ」と一段腰を落として乗り込むセダンやステーションワゴンの着座位置は、日本人にはもう好まれないかもしれませんね。かと言ってクロカン系SUVみたいにフロア高すぎて億劫なのも存在してますが。
オデッセイのようなフロア高、着座位置がやはり最高です。
ミニバンが流行った後もミニバンとワゴンのクロスオーバー的な車種は様々設定され、ステーションワゴン支持の層も根強かったですよ。
ステーションワゴンを決定的に終わらせたのは、SUVです。SUVが出て、ステーションワゴンは「実際に全然買われなく」なりました。
それじゃなきゃいけない私達みたいな一部層しか買わなくなり、選択肢として入れていた層がみんなSUVへ流れましたね。