■フロンガスの充填でエアコンの効きが復活
さて、前述の冷媒(フロンガス)が漏れてしまった場合、とりあえずフロンガスを補充すれば冷えるようにはなる。
専用のガス回収機でクルマからエアコンガスを回収し、不純物を取り除き、回収したガス量と規定量の差分のガス、エアコンオイルを規定量加え、キレイになったエアコンガスをクルマに充填する。料金はHFC-134a(=R-134a)では、約8000~1万円(車種によって異なる)となっている。
2、3年以内に登場した新車は、新規格のエアコンガスHFO-1234yf(=R-1234yf)対応に切り替わっている(車種によって異なる)。国内では、2015年4月に施行されたフロン排出抑制法にて自動車用エアコンについて定められた、「2023年までにGWP(地球温暖化係数)を150以下とする低GWP化目標の達成」に向け、このR-1234yfへの移行が進んでいる。
このR-1234yfは、R-134a(=HFC-134aのGWPは1430)に比べ、GWPが1未満と非常に低く、GWPを99.9%低減するという。
またR-1234yfの大気寿命はわずか11日と、R-134aの13年、CO2の500年以上に比べ非常に低く、分解に数十年を要するHFC(代替フロン)やCFC(特定フロン、オゾン層破壊物質)とは異なり、R-1234yfは大気中に滞留しないという。
ただし、R-1234yfの200g缶1本1万円前後もする。R-1234yfの工賃込みのガス補充料金はR134aに比べ、3万~5万円程度と非常に高価となっている(車種によって異なる)。
冷却経路内には冷媒ガスととともに潤滑用のオイルも封入されている。ガス漏れを起こした場合、程度の差こそあれ、コンプレッサーオイルも漏れ出している可能性があり、フロンガスの補充で冷えるようになったとしても潤滑油不足でコンプレッサーが焼き付く危険がある。
さらに、どこから漏れたのかという根本的な問題も解決されていないため、1年も経たずに漏れて効かなくなる可能性も高い。
もしガスを補充してもエアコンが効かない時は亀裂が起きている可能性が高い。その場合、高圧ゴムホースや金属パイプなどから漏れていないか点検し、ガス漏れ修理を行う必要がある。
このため、新車に乗り換えるために「1シーズン持てば良い」ということがなければ、電装系の整備を専門に行っている電装系の整備工場に点検・修理を依頼したほうがよい。
冷却回路内に残っているフロンガスを回収して修理したうえで、既定量のコンプレッサーオイルとフロンガスを補充となるため、安くとも2万~3万円の費用がかかるが、長く乗るつもりでいるなら結果的には安上がりだからだ。
ここで、エアコンの各部分が壊れるといくらかかるのか、挙げてみた。例えばエアコンコンプレッサーが焼き付いてしまった場合、冷媒とともに削れ落ちた金属カスが冷却回路内の隅々までに回ってしまうため、冷却回路を構成するパーツのほぼ全取り替えとなる。
そうなるとクルマによって大きく異なるが、10万~30万円という高額の修理代がかかる。これが要因となってクルマを乗り換えてしまうケースが多々あるので注意したい。
■エアコンの修理費用(工賃込み)
ガス補充/約3000~5000円
ガス漏れ修理/約2万~3万円
エアコンコンプレッサー交換/約5万~10万円
ファンモーター/約4万~5万円
エバポレーター交換/約5万~10万円
エキスパンションバルブ交換/約2万円
エアコンフィルター交換/約4000~6000円(年1回交換)
サーモスタット交換/約1万円
※価格は車種によって異なりますので目安としてください
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