国道を中心に全国各所にある「道の駅」。簡単に言ってしまえばパーキングエリアの下道版といった感じだが、サービスエリアやパーキングエリアに比べると道の駅は後から登場した存在だ。何気なく使用している道の駅だが、どのような経緯から登場したのだろうか。道の駅を今一度見つめ直してみよう。
文/西川昇吾
アイキャッチ写真/Kana Design Image-stock.adobe.com
写真/Adobe Stock、TOYOTA、NISSAN、HONDA
■そもそも道の駅の要件とは?
道の駅は一言で言えば一般道にある休憩施設だ。道の駅として登録するには休憩機能、情報発信機能、地域連携機能など各種要件を満たす必要がある。具体的には以下の通りだ。
・休憩機能
十分な容量を持った駐車場、清潔なトイレ(原則洋式)子育て応援施設(ベビーコーナーなど)
・情報発信機能
道路情報や観光情報、緊急医療情報などを提供する
・地域連携機能
文化教養施設や観光レクリエーション施設などの地域振興施設としての機能
そのほか、施設及び施設間を結ぶ主要経路のバリアフリー化などが要件として挙げられる。なお、設置者は市町村もしくは市町村に代わり得る公的な団体とされているのだ。
■1990年に誕生した道の駅という思想
道の駅という言葉が誕生したのは1990年のことだ。この年の1月に開催された「中国地域づくり交流シンポジウム」において、「鉄道路線に駅があるように、道路にも駅があっていいのではないか」と提案されたことがきっかけだ。ここから道の駅という名称が誕生したのだ。
それまで高速道路にはパーキングエリアやサービスエリアなどがあったが、一般道にはそのような施設はあまりなかった。
確かに、大きな国道沿いにはドライブインの大きな駐車場を備えた商業施設などがある場合もあった。しかし、定休日は利用できなかったりトイレだけ借りるなどは難しかったりと24時間365日誰でも利用できるものではなかったのだ。こうした背景を受けたのもあってか、道の駅という思想は誕生した。
そして1991年10月から山口県、岐阜県、栃木県で仮設の休憩・案内施設を用いた社会実験を実施。この社会実験は約半年間実施されたが、その中で「地元のコミュニティが形成された」「特産物をPR出来た」といったポジティブな声が多く報告された。
この報告などを受け、1992年2月に国によって道の駅の登録・案内制度が創設された。そして登録の申請・受付を経て1993年4月に最初となる道の駅登録証が103の施設に交付された。こうして道の駅はスタートしたのだ。
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