梅雨の時期は、「まだ夏じゃないんだから、エアコンは使用しなくてもいいんじゃないか?」「水をそんなに飲まなくてもいいよね」と思いがち。
それは危険! 実は、熱中症による搬送車数の第1のピークは5~6月といわれているのだ。つまり、梅雨時でも油断はできないということだ。
そして車内で熱中症に陥ることは決して珍しいことではない。停車中ならまだしも、運転中にめまいがする、意識が遠のくなど、熱中症の症状が表れたりすれば大事故にもつながりかねない。
そこで今回は、夏の準備期間である梅雨の時期にこそ行うべき熱中症対策を解説していこう。
文/斎藤由紀子、写真/写真AC、イラストAC
梅雨時でも熱中症の危険が!
先日、体育祭の練習中に高校生約30名が熱中症で搬送されたというニュースが報道された。梅雨時期で気温は26.2℃と比較的快適……にもかかわらず搬送されるほどの熱中症に。驚く人も多いかもしれないが、実は梅雨時に熱中症に陥る人は想像以上に多いのだ。
その理由は湿度の高さ。湿度が高いと汗が蒸発しにくくなって体内に熱がこもりやすくなり、熱中症に陥るリスクも高まるのだ。一般的に湿度が65%を超えると熱中症のリスクが高まるといわれている。上記の練習中の湿度も80%ほどだったという。
車内であっても注意が必要。梅雨時期には車内は湿気がこもりやすいうえエアコンを使用しない人も多いため、熱中症が発生しやすい場所といえるのだ。
湿度が高い日は、エアコンは内気循環にして除湿を。特に、雨の日など、湿気がひどいときには必ずエアコンを使用して除湿しよう。
特に子どもは体温調整機能が低いため注意が必要だ。まだ夏前だから大丈夫だろうなどと、車内に子どもを乗車させたままクルマから離れるようなことは絶対に避けよう。
暑熱順化で暑さへの耐性をつける
前述の湿度の高さ以外に梅雨時期でも熱中症で搬送される人が多いのは、暑さに体が慣れていないことが理由のひとつ。
人間の体は、夏に向かって気温が徐々に上がっていく過程で暑さに耐えうる体温調整ができる体へと少しずつスイッチされるしくみになっている。これが「暑熱順化」と呼ばれるシステムだ。この暑熱順化は健康な人であれば、1~2週間ほどで完了するといわれている。
暑熱順化を完了させるうえで重要なのは汗。汗は体温を下げる働きをもつが、暑熱順化完了前には十分な汗がかけなくなっている。その結果、体温が異常に上昇しても汗が出ずに、熱が体内にこもって、熱中症になってしまうのだ。
ということで、熱中症ならないためには以下のような工夫をして、自力で汗をかける体をつくることが重要といえる。
■暑熱順化を促す方法
●入浴時間を長めにとり、汗をかく
●軽く発汗をするくらいのスピードで歩く
●エアコンは外気との温度差を5℃程度の温度設定にする
●こまめな水分補給を心がける
コメント
コメントの使い方