同型エンジンなのに、はるかに長く飛べる⁉
新型ホンダジェットと同じ「ライトジェット」(LJ)に属する現行ライバル機としては、スイスのピラタス・エアクラフト社の「ピラタスPC-24」(定員11名)、ブラジルのエンブラエル社「フェノム300E」(同10名)。
そのほか、米国セスナ社(テクストロン社傘下)の「サイテーション CJ3 +」(同9名)、「サイテーションCJ4 GEN2」(同10名)などが挙げられる。
なかでも高いデリバリー数を誇る強敵はセスナ社のサイテーションだが、その航続距離は「CJ3 +」が2040nm(3778km)、「CJ4 GEN2」が2165nm(4010km)。
これらと比較すれば、新型ホンダジェットの2625nm(4815km)という航続距離が、いかに優れているかが理解できるだろう(これらの航続距離はすべて4名搭乗時の数値)。
さらに驚かされるのは、新型ホンダジェットの航続距離がこれほど長いにもかかわらず、サイテーションの「CJ3 +」と「CJ4 GEN2」、そして新型ホンダジェットの搭載するエンジンが、すべて同じくウィリアムズ社のFJ44系だということだ。
同じ型式のエンジン、同等の定員数でありながら、なぜ新型ホンダジェットはこれほど航続距離を延ばすことが可能なのか?
優れた機体は高く飛べる
そもそも初代の「ホンダジェット」がバカ売れしたのは、その快適な居住性と、優れた空力特性にある。
双発の小型ジェットの場合、胴体の左右後部にエンジンを搭載するのが一般的だが、その場合、機体後部は振動や音が大きくなり、また、その周辺には配管類が張り巡らされるため、せいぜいラゲージ・スペースかメンテナンス・スペースにしか活用できない。
しかし、「ホンダジェット」の場合には、空力的にデリケートな主翼上面へ、空力特性を落とすことなくエンジンを配置することにより、機体後部までが静粛性に優れた居住スペースとなっている。
こうした「ホンダジェット」の優れたDNAは、新型ホンダジェットにもそのまま踏襲される。
また、新型ホンダジェットにおいては、ホンダACI社の独自技術によって、自然層流翼型やノーズ形状、コンポジット胴体などがさらに進化する予定。
その結果、さらなる機体の浮きの良さと、空気抵抗の低減が図られるはずだ。
もうひとつ重要なポイントがある。それは、同クラスの他社のモデルが最大運用高度を4万5000 フィート (1万3716m)に設定しているのに対し、新型ホンダジェットでは4万7000フィート(1万4326m)を航行する点だ。
つまり、他社の機体よりも高い領域を飛ぶことによって、さらに空気抵抗を減らし、燃費を向上するのだ。
空力特性に優れた新型ホンダジェットだからこそ、高高度を飛ぶことが可能となる。
その結果、ロス~ニューヨーク間の飛行においては、新型ホンダジェットは他の同クラス機よりも40%以上燃費が向上するとされている。
つまり新型ホンダジェットとは、限られたエンジンパワーを、優れた空力特性によって効率よく活用することにより、驚異的な低燃費と、長大な航続距離を実現する機体なのだ。
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