令和3年(2021年)に国内で起きた車両火災は、3512件だった。ガソリン車は、もちろんのこと、普及しつつある電気自動車(以下、EV)も注意していきたい。そこで今回は、EVの火災原因について解説。そして、さらなるEVに対する大きなリスクは猛暑?
文/高根英幸、写真/高根英幸、Adobe Stock、アイキャッチ画像/zirong-stock.adobe.com
■車両火災の原因に電気系統は少なくない
ガソリン車の方が燃料が燃えやすく危険(ガソリンは消防法上、危険物だ)じゃないか、と思う人もいるだろう。しかしガソリン車でも電装系が原因の火災は少なくない。
電気の塊と言えるEVは、電気系統が原因の火災をエンジン車より起こしやすいのは自明の理だ。
そして現在ではまだ1%にも満たないEVが、急速に増えていくこことは、そうした電装系やEVならではの高電圧系のトラブルが火災を発生させるリスクが高まることにもつながるのだ。
ガソリン車やクリーンディーゼル、ハイブリット車は、燃料を使うという危険性は古くから認識されていて、安全対策も十分すぎるほど施されている。
90年代に衝突時の燃料漏れや内装の難燃化など段階的に保安基準が厳格化されて以来、衝突事故による出火は劇的に減少しているのだ。
いっぽう、現在EVの主力電池であるリチウムイオンバッテリーはエネルギー密度が高い電池というだけでなく、熱暴走してしまうリスクがある。
また通常のバッテリーと違い、電解液が有機溶剤であることも電池パックの膨張や、燃え始めたらなかなか消せない。
そして消しても内部損傷により熱暴走を起こし数時間後に再発火するという厄介な性質をもつ。
三元系のリチウムイオンより安全だと言われる、リン酸鉄リチウムもリスクはゼロではない。熱暴走を起こしにくい構造とはいえ、外部から熱が加われば電解液は蒸発して膨張することになる。
あくまでも自己発熱しにくく、熱崩壊しにくいだけで、大電力を蓄えた塊であることにはそれほど変わりないのだ。
コメント
コメントの使い方ニワトリと卵どっちが先的な議論になりそうだが、悪化した環境下でタフに扱えるのはEVかICEか?逆に、ICEを減らしてEVを増やせば本当に環境悪化は防げるのか?そこが今知りたい。
早速もうEV車が原因で火災が発生しちゃった感じ?
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自動車運搬船 オランダ沖で火災 1人死亡 愛媛の会社所有
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230727/k10014144031000.html
東日本大震災後にバッテリーが発火した国産のHVまたはEVはゼロと言われています。一方、〇スラに代表されるA国、台数だけは一人前のC国、一般には高級と評判のD国などのHVやEVでは、発火炎上が珍しくありません。この意味でも、”外車には要注意”でしょうね。
これは現実での発火事例を基にすべきでしょう。
国内ではリーフが1件も出していない優秀さゆえにBEV=炎上に結びつきにくいですが、
北米、中東、EU圏だけでもBEVの炎上は台数比でICEを「桁違いに」上回ります。
HVの炎上はEU製PHEVと一括りにすると微妙ですが、例えばホンダ&トヨタ製HVならICEの平均よりも少なく高い安全性を誇ります。
ハイブリッド車は、ガソリンとリチウムイオン電池の両方を積んでいるので、フルEVよりもさらに多くの危険性を併せて持っており、発火の危険度が高いと言える。
ハイブリッド車はフルEVよりは搭載バッテリーは小さいだろうが、スマホ程度の大きさでも火災を起こすのに十分な発火が起きて、ガソリンに引火する恐れもある。