EVにとって猛暑は大きなリスク?? 今後EV火事が増えると予想されるワケ

EVにとって猛暑は大きなリスク?? 今後EV火事が増えると予想されるワケ

 令和3年(2021年)に国内で起きた車両火災は、3512件だった。ガソリン車は、もちろんのこと、普及しつつある電気自動車(以下、EV)も注意していきたい。そこで今回は、EVの火災原因について解説。そして、さらなるEVに対する大きなリスクは猛暑? 

文/高根英幸、写真/高根英幸、Adobe Stock、アイキャッチ画像/zirong-stock.adobe.com

■車両火災の原因に電気系統は少なくない

令和4年版消防白書によると、排気管の次に交通機関内配線と電気機器による火災原因が挙がっている。原因不明を含め、国内では3512件の車両火災がおきた(写真:KK-stock.adobe.com)
令和4年版消防白書によると、排気管の次に交通機関内配線と電気機器による火災原因が挙がっている。原因不明を含め、国内では3512件の車両火災がおきた(写真:KK-stock.adobe.com)

 ガソリン車の方が燃料が燃えやすく危険(ガソリンは消防法上、危険物だ)じゃないか、と思う人もいるだろう。しかしガソリン車でも電装系が原因の火災は少なくない。

 電気の塊と言えるEVは、電気系統が原因の火災をエンジン車より起こしやすいのは自明の理だ。

 そして現在ではまだ1%にも満たないEVが、急速に増えていくこことは、そうした電装系やEVならではの高電圧系のトラブルが火災を発生させるリスクが高まることにもつながるのだ。

 ガソリン車やクリーンディーゼル、ハイブリット車は、燃料を使うという危険性は古くから認識されていて、安全対策も十分すぎるほど施されている。

 90年代に衝突時の燃料漏れや内装の難燃化など段階的に保安基準が厳格化されて以来、衝突事故による出火は劇的に減少しているのだ。

 いっぽう、現在EVの主力電池であるリチウムイオンバッテリーはエネルギー密度が高い電池というだけでなく、熱暴走してしまうリスクがある。

 また通常のバッテリーと違い、電解液が有機溶剤であることも電池パックの膨張や、燃え始めたらなかなか消せない。

 そして消しても内部損傷により熱暴走を起こし数時間後に再発火するという厄介な性質をもつ。

 三元系のリチウムイオンより安全だと言われる、リン酸鉄リチウムもリスクはゼロではない。熱暴走を起こしにくい構造とはいえ、外部から熱が加われば電解液は蒸発して膨張することになる。

 あくまでも自己発熱しにくく、熱崩壊しにくいだけで、大電力を蓄えた塊であることにはそれほど変わりないのだ。

次ページは : ■屋外での保管では猛暑日の暑さが新たなリスクに

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